「観光客が土下座強要?」に見るFENDIの反省点 インバウンド対応を迫られる各企業が今すべきこと

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こうした要素が絡みあって、「大きな声で早口」=「怒られている(まくしたてられている)」と店員側も捉えてしまい、ひざまずく(土下座)という行為に至ってしまった、ということも考えられます。

とはいえ、従業員が精神的苦痛を受ける状況になってしまうのは会社としてもよくありません。

「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が問題となる中、改めて会社としてどのような行動が望ましかったか、振り返っていきます。

今回の対応は何がいけなかったのか

① 土下座はしなくてよかった

少し前の事例になりますが、2013年、衣料品チェーン「ファッションセンターしまむら」で従業員にカスハラをした客が逮捕される事件がありました。

タオルケットを購入した客が、商品に穴が開いていたことに腹を立て店舗に行き、商品代の返金に加えて、返品のために費やした時間に対する誠意と交通費も要求。さらに謝罪の意をあらわす「土下座」を強要し、その姿をSNSに投稿したことで、SNS上で大炎上しました。

他にもボウリング場やコンビニ等でも、接客態度が気に入らないと従業員に土下座を強要し、逮捕に至った事件もあります。

顧客第一主義の価値観を持っていると、「土下座をすれば事がおさまる」「土下座をすれば納得してもらえる」と過去の経験や見聞きした情報を踏まえて考えがちですが、そもそも土下座は業務と関係のない行為のため、行う必要はありません。

また、「土下座を強制する行為」は強要罪になる可能性があります。強要罪は、脅したり暴力を振るったりして人に義務のないことを行わせることです。

今回の場合、お客様は「土下座を求めていない」とおっしゃっています。

「気を悪くしたことに対し謝罪をしてほしかっただけ」「ストールを体から剥がして持ち去った理由を説明してほしかっただけ」であれば、これまでも行っているであろう通常のクレーム対応で落ち着いたと考えられます。

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