2024年10月27日の衆議院総選挙、そして11月5日のアメリカ大統領選挙と、この2週間で日本人にとって重要な意味をもつ選挙が行われた。
衆議院選挙では自民党が過半数を取れず、公明党を入れても単独で政権を担当できないという事態に至った。アメリカでは、トランプが圧倒的な強さで大統領に返り咲き、同時に行われた上院、州知事、下院選挙でも共和党が過半数を占めるという事態になった。
予想されていたこととはいえ、日米ともに国民ははっきりと現政権にノーを突きつけた形だ。国民はしっかり見ていると言える。
ウクライナやガザで続く戦争状態を見ながら、それぞれの国民は戦争が第3次世界大戦に拡大しないことを切に願っているのだ。バイデン政権、ヨーロッパの現政権が武器を当時国に与え続け、停戦ではなく戦争を継続させようとしていることに、多くの国民が反対を唱えているのだ。
2024年5月に行われたEU議会選挙、そして7月のフランス国民議会選挙、イギリスの下院議会選挙、ドイツの州議会選挙においても、明確に現政権の戦争支持に対する判定が下った。
民意に従わないヨーロッパの政権
しかし、である。いずれの政権もそれを正直に認めようとはしていない。大統領制をとっているフランスは首相指名権を使って国民の意思を否定し、イギリスでは労働党政権の首相が戦争支持に傾き、EUでも選挙での反EUの衝撃をいっさい考慮することなく、これまで通りの政策が実行されている。
国民の多数の意見が反映されないのは、民主制度の中にある、ある種の欠陥によることは間違いない。戦争などの非常事態においては、大統領や首相の権力は絶対化するからである。しかし、はたしてヨーロッパやアメリカにとって今は戦争状態といえるのだろうか。
ウクライナ戦争がヨーロッパへ飛び火したのだとすれば、それは戦争状態といえるが、その原因がロシアのあくなき領土拡張の「可能性」というだけなのであれば、戦争状態とはいえない。むしろ、戦争に支援をしているNATO(北大西洋条約機構)諸国のほうこそ、自ら戦争の可能性を招いているといえる。
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