その後、アメリカは直接介入せず、武器を供与することで、ウクライナを代理戦争国としてロシアと戦わせてきた。しかし、武器や情報だけでは勝ち目はなく、気がつけば1000日の戦争の中で、もっとも重要なドンバス地域を占領され、戦争は負け戦である。
西欧諸国は、あたかも下がり続ける株がいつかは上がることを期待し株を買い続ける投資家のように、かすかな期待でウクライナを支持し続けた。NATOは威信の低下を恐れ、敗北を認めることなく、泥沼にはまっていったのである。
トランプの即時停戦案
定かではないが、伝え聞くところによると、トランプは即時停戦案として、イーロン・マスクを使った思い切った提案に出るようである。ロシアとの間にアメリカの関与しない1300キロメートルの緩衝地帯(非軍事的)を置き、その地域の管理についてはNATOのヨーロッパ諸国に委任する。
そして、アメリカは武器や財政支援などいっさいせず、ロシアの占領地は、そのままロシアとするというものである。そしてウクライナのNATO入りは、当面なしということだ。
こうした提案は、ゼレンスキーが主張している勝利プランと真っ向から対立する。ゼレンスキーからすれば、戦争がアメリカがけしかけて始まったにもかかわらず、いつのまにその火付け役が逃げでしまったという気持ちであろう。
ゼレンスキーの勝利プランでは、いまだにドンバス、クリミア地域などはウクライナであり、モスクワ攻撃も含めた全面的攻撃が考えられている。
現状からいって、ゼレンスキーの勝利プランで突き進むとすれば、NATOを巻き込む全面戦争しかないであろう。そうすると、第3次世界大戦となる。それを避けるならば、ウクライナのロシアへの領土割譲なども含めた一種の降伏という形で、ロシアと停戦にこぎ着けるしかないであろう。
バイデン政権すらモスクワ攻撃を行う意志は持っていなかった以上、ウクライナには戦争以前の領土を確保するという勝利プランを実現する可能性はほとんどない。
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