「内々定」でも福利厚生が使える企業増加の背景 専門家が指摘する「入社後の危険性」とは

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「2年ほど前までは、基本、内定者の福利厚生利用は内定式が終わる10月から、という形でサービスを提供していました。

しかし、昨今は就活の早期化によって、内定式を迎えていない状態、いわゆる“内々定”でも福利厚生を使えるようにしたいという声も聞こえ、入社する前年の8月から使える福利厚生サービスの提供も始め、導入する企業は増えています」(リロクラブの担当者)

実際、8月から利用する内定者もいるといい、福利厚生に加え、「eラーニング」や「Excel」の研修を受ける内定者も多いようだ。

また、同社のサービスは中小企業が中心だが、最近は大企業からの問い合わせも多いという。前出の担当者がこう話す。

「大企業、中小企業に関わらず、内定者向けの福利厚生については問い合わせが増えており、導入する企業は毎年、前年比で約10%増の状態です」

内々定の段階で会社勤めをしているかのような気分を味わえるわけだが、学生がそうしたことを求めているのだろうか。

ある小売大手の人事担当者はこう話す。

「今は、大手企業が採用内定を出しても蹴られるのが当たり前の時代。

大手、中小に関わらず、会社に入って自分自身が成長していくことをイメージできるか、入社して楽しみもいっぱいあるか、などを早い段階で学生に見せて学生の心をとらえる必要がある。

今後もどんどん先手を打って人材確保に対応していく必要があります」

福利厚生は学生と企業の「接点」に

こうした動きについて、働き方評論家で千葉商科大准教授の常見陽平氏もこう語る。

「一連の企業の動きは、働く環境の魅力を見せ、内定した学生を囲い込む、という理由も1つですが、企業側が福利厚生の利用などを通して、『学生(内定者)と会社の接点』を持たせたいのだと思います。

昔から、福利厚生は保養所の有無などで、大手と中小で差があるように感じられがちでしたが、今は加入すればアラカルトでメニューを選ぶことができる福利厚生アウトソーシングサービスなどを提供する会社も増え、両者の待遇差は昔に比べて縮まってきました。

そのような変化も影響して、学生にアプローチしやすい1つの手段になってきているのだと思います」

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