「内々定」でも福利厚生が使える企業増加の背景 専門家が指摘する「入社後の危険性」とは
「昨年10月の内定式のときに、『内定している状態でも、内定式に出てからは福利厚生が使える』という説明を受けて、大学生の遊ぶ時間があるときに使えるのはいいなと思って利用しました。
物価が値上がりして手が出しずらくなっているので、少しでも割り引いてくれるのは学生時代の自分としては使いやすかったです。
社会人に比べ、お金がない学生にとってはすごくありがたかったですし、入ってからもそのサービスは使えるというのもあってその会社に入る決め手になりました」(深山さん)
深山さんが内定式で受けた説明では、ほかにも全国の飲食店やリゾートホテルの利用、スーツ購入代などで多くの割引サービスを受けることができる。
回数制限などはなく、同じ施設の利用は、一定程度の期間さえ空いていれば何回でもサービスを受けることが可能だという。
福利厚生サービスなどを企業に提供する「リロクラブ」によると、内定者への福利厚生は10年前からすでに始まっていたという。
導入する企業は年々増加傾向に
「内定者向けの福利厚生が欲しいという各企業の人事担当者さんからの声を受けて、弊社では10年前くらいから新卒内定者向けの福利厚生サービスの提供を始めました。
割引サービスなど『消費』に直結したものはもちろんのこと、最近ではSNSなどのセキュリティ研修を含むeラーニングなどを福利厚生の一環として導入する企業も非常に多い印象です」(広報担当者)
リロクラブによると、同社が福利厚生サービスを提供する企業の今年4月入社の“内定者”からの利用が最も多かったのは、ファストフードやファミレス、居酒屋などのカジュアルな飲食店での割引サービスで、カラオケ、スパ、サウナや日帰り入浴施設での割引、スーツやパソコンなどの購入費割引などが続いた。
さらに、近年では「内々定でも福利厚生サービスを使えるようにしたいという企業も増えている」という。