採用した外国人をすぐに逃さない企業側の秘訣 「なぜこの人材が自社に必要か」を徹底する

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一方、多くの外国人の目的が「お金」であるため、どうしても都市部と比べ、年収の伸び率や年収差が約1割ほどあると言われる地方では、また大企業と比べて待遇面や賃金面で格差が生じている中小企業では、人材の定着が難しくなってしまいます。

日本にいる外国人を採用する場合、「なぜ日本国内で転職を希望しているのか」「なぜ雇用条件が下がっても転職を希望するのか」という理由を明確にしておくべきです。

そうでないと、働く目的が「お金」という人材が多いため就職しても短期間で再び転職され、何度も人材紹介会社に手数料を支払うことになり、結果的に大きな採用費用がかかってしまう可能性があります。

一方、海外から外国人を採用する場合、とくにミャンマーでは日本での就労ビザ取得や出国手続きに約半年ほど時間がかかります。さらに、飛行機代などを受け入れ先企業が負担するケースも多く、日本国内にいる外国人を採用するよりも費用がかかることが一般的です。

しかし、海外採用では多くの候補者から選ぶことができるため、自社の企業文化に合う人材かどうかや、将来的な成長を見据えて、じっくりと時間をかけて選考することが可能です。

外国人採用の善しあしを見極める

ここで大切なのは、先の事例で紹介した宮古島のレストランで働くミャンマー人のように短期間で転職されないよう、日本での就労を希望する人材が、なぜその企業、勤務地を選んだのか、都会志向なのか地方志向なのかなどを確認することです。

日本国内から採用する外国人は中途採用、海外から採用する外国人は新卒採用というイメージを持つとわかりやすいかもしれません。どちらが良い、悪いということではありません。外国人採用は一口に語られることが多いですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

外国人は、同じ地方や業種内の企業を比較するのではなく、全国の地域や他業種も含めて情報を集めています。また、自動車免許を持たない外国人は行動範囲が限られるため、勤務場所の公共交通の利便性が重要な要素となります。このように、日本人社員とは異なる視点からさまざまな要素を検討することが大切です。

「お金」だけが理由で地方や中小企業に外国人が定着しないわけではありません。外国人採用を一括りにせず、自社にとって適切な外国人材とはどのような人材なのかを見極めることが大切です。

外国人を採用したものの、早々に転職された経験のある企業担当者や、これから外国人を採用しようとしている担当者の方は、まずは自社分析を行ってみてはいかがでしょうか。

西垣 充 ジェイサット(J-SAT)代表

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にしがき みつる

ミャンマー専門コンサルティング会社「ジェイサット(J-SAT)」代表。大手経営コンサルティング会社から、1996年4月に日系企業のヤンゴン事務所に転職。98年に独立し、同地にてJ-SATを設立。企業のミャンマー進出支援やミャンマーでは最難関の日本語学校を運営、ミャンマー人エンジニアや日本語が話せる技能実習生・特定技能生派遣など、一貫してヤンゴンに常駐してビジネスを行う。

ジェトロ・プラットフォームコーディネーターや大阪府ビジネスサポートデスク、福岡アジアビジネスセンターなど公的機関のアドバイザーも務めるミャンマー支援の第一人者。

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