「本を読んでも身に付かない」はどう解消する? 「読書術」7つのポイントを"読書の達人"が伝授
そして二つ目のメリットは、情報の網羅性です。技術書の多くは、入門的な知識から応用技術まで、その分野の内容が体系的にカバーされている。特に名著は、時間が経っても変わらない知識・考えが多くカバーされています。
一方の動画や音声配信サービスは、テーマによっては一つのコンテンツ内にまとまりきっていないケースも多く、自分が知りたいテーマを扱っている回を探す時間もかかります。身に付けられる知識の内容が、断片的になってしまうケースが多いように感じます。
体系的に集中して知識を学べることは、書籍ならではの良さだと思います。
無理して読むより「積読」を
ーー動画や音声配信に比べて、本を読む行為を面倒に感じる人もいそうです。読書へのハードルを下げるためには、どうすればいいのでしょうか。
まずは、本を読むことへの心理的な負担を和らげるのがいいかなと思います。
私も、少し読んで「今の自分には必要ないな」と思った本は、一旦読むのをやめて、次の本に移行することがよくあります。必ず全部を読もうとすると、ある一冊で本を読む行為にとても苦労した場合に、読書の習慣自体が続かなくなる恐れがある。それよりも、別の本でも良いのでどんどん読み進めたほうが良いと考えています。
そういった気軽な気持ちで読書に臨むことが、本を読むための第一歩ではないでしょうか。
ーー途中で読み進めることを辞めてしまっても問題ではないと?
そうですね。私自身、買っただけで読んでいない本は何冊もあります。
ただ不思議なことに、5年ほどたってから以前スキップした書籍を手に取ると、「なんて良いことが書いてあったんだ」と思うことがたまにあるんですよ。
自分の置かれている環境や携わる仕事内容が変化すると、文脈の印象がガラッと変わることがある。「昔の自分には必要なかったけど、今の自分には必要」になっていることが多々ありました。
こうした経験があるからこそ、全部読み切らなくても「あとで役立つかもしれないからいいや」と思うようになったんです。本は読まずに買って積んでいてもいいと思います。
ーー今回の話を聞いて、本を読むことに前向きな気持ちになった方も多そうです。
本は、少し読むだけでも得られるものは多いです。それこそ、後になってから役に立つことだってたくさんある。今回の話が、今後の読書の参考になれば幸いです。
文/中たんぺい 撮影/桑原美樹 取材・編集/今中康達(編集部)
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