「本を読んでも身に付かない」はどう解消する? 「読書術」7つのポイントを"読書の達人"が伝授
ーー先ほど伺った「読書メモ」と「振り返り」の他にも、本の内容を定着させる上で有効な手段はありますか?
読んだ本について、自分の言葉で発信することがおすすめです。経験上、自分で実践したり、講演で発表したりしたときが、一番記憶に残っているように感じています。
なので「本当に良い本だな」「この考え方は覚えておきたいな」と思った場合は、社内勉強会などで発表の機会を無理やりにでも作って講演するようにしています。
つい先日翻訳に携わった『エレガントパズル エンジニアのマネジメントという難問にあなたはどう立ち向かうのか』(日経BP)の原著を読んだ際も、その内容があまりにも素晴らしすぎたので、少しでも理解を深めようとスライドに起こして発表しました。
ただ、そこまでの時間が取れない方も多いでしょうし、自分のメモに読書した内容を残して振り返ることができれば十分だと思います。自分の言葉で記録を残すだけでも、本に対する理解度は大きく変わります。

本で学ぶメリットとは
ーーちなみに、知識を学ぶ方法には「動画」や「音声配信」もありますよね。本を活用するメリットはどの点にあると思いますか?
本で学ぶメリットは、大きく二つあると思います。
まず一つは、短時間で多くの知識を学べること。本は、情報が論理的に構成されていることが多いので、流し読みで概要を捉えるのに適しているんです。つまり、時間対効果が高い。
ただ動画や音声配信の場合、コンテンツの再生時間に理解速度を合わせなければいけません。速く理解したいと考えても、スピードアップできるのは2倍程度ですよね。本の場合、ロジックさえ理解できればもっと早く内容をインプットしていけます。この点は大きなメリットですね。