「ゴキブリ2000匹と激闘」清掃芸人が見た驚く光景 引っ越してもまたごみ屋敷、再発をどう防ぐか
――本の中に“住人の方とコミュニケーションを取ることで作業がスムーズになる”とあったのも印象的でした。そこはお笑い芸人であることが生きているのでしょうか。
落合:もともと片付け、不用品回収、遺品整理みたいな仕事って「現場で人とコミュニケーションを取る」って業界じゃないんですよ。だから、僕ら芸人が入っていちばん重宝されるのって、やっぱり対人関係なんですよね。
本当に必要な物と必要じゃない物、本人が要る物と要らない物って、また違うじゃないですか。そこのバランスをちゃんと見て話ができるのは芸人だからかなと。芸人はお客さんの顔を見ながらやりますからね。
柴田:僕はちょっと笑いをとりにいこうとしちゃうんですよ。例えば左側にしか動かなくなった赤べこがあって、「どうしよう?」とかって話してるときに「これ、(ビート)たけしさんみたいになってますね」って言ったら無視されて。その後、すぐ要らない袋に投げ込まれたことがあります(笑)。まぁ結果、よかったのかなと思いますけど。
落合:もう1つ、「身元がちゃんとしてる」っていうのも僕ら芸人の売りではありますね。不用品回収とか遺品整理の業者さんはいっぱいありますけど、しっかり人が担保されてる業者って少ないと思うんですよ。お客さんからしたら「誰が家に入るかわからない」って状況なので、そこは「本当に安心してください」っていうのはあります。
柴田:ネット検索すればすぐ顔が出てくる芸人だからこそ、「絶対に変なことはしませんよ」っていうね。そこは芸人であることが生きていると思います。
悲惨だったゴキブリの現場
――いろんなごみ屋敷があると思いますが、お2人が「二度と行きたくない」と感じたのはどんな現場ですか?
柴田:僕は本に書いた7つのカテゴリー(「生屋敷」「弁当がら屋敷」「紙屋敷」「尿ペ屋敷」「犬猫屋敷」「エロ屋敷」「物屋敷」)のどれが嫌っていうよりも、とにかくゴキブリがいるところがダメです。地元の北海道にいた頃は、「殺虫剤のCMでしかゴキブリを知らない」ってぐらい、ゴキブリがまったくいなかったので。
不気味なBGMが流れる中、ゴキブリの影に驚いた人間が殺虫剤を噴射するCMを見て「……東京には悪魔みたいな虫がいるんだ」と思っていました。実際に上京してみたら、その想像を超えてきたので余計ダメになって。それでも清掃業を続けたのは生活を考えてのことです。結婚して子どもも生まれるって時期だったから、とにかく必死でした。
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