過去最多掲載「ミシュラン東京2025」を読み解く 「世界で最も星が多い」東京であり続ける理由

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そのため、ある店の星がなくなったとしても、その店の味が急に落ちたとは言い切れないだろうし、星を現時点でも維持している店舗の価値が、相対的に高くなったということもできる。

ミシュランガイドのインターナショナル・ディレクター、グウェンダル・プレネック氏は2024年、CNNのインタビューに対して「ミシュランガイドの調査員は、否定的な評価は一切下さない」と語っている。

「我々は決して批判しないし、調査員は批評家ではない」

これはミシュランガイドの精神を表す重要な言葉だ。星の数は、お薦めの度合いが変わるだけ、という意図が読み取れる。

「世界で最も星が多い都市」という称号が東京につき続ける理由

セレクションが始まった2007年からずっと東京の定冠詞になっている「世界で最も星が多い都市」。東京が、世界で最も星が多い都市であるのはなぜなのだろうか。

最大の理由の一つは、レストランの絶対数の圧倒的な多さだろう。レストランの軒数を都市ごとにまとめた調査では、東京が13.7万軒と世界一だ。人口10万人当たりでも東京は994軒と世界一となっている(パリは11位、10万人当たり307軒)。

レストランの軒数

軒数の多さが、料理の質の高さや競争率の高さに繋がることは自明だ。客の側としてはありがたいことだが、東京のレストランはそれだけ多くの競争相手と日々向き合っているともいえる。

現代社会の動くスピードが速くなり、「世界のベストレストラン50」など、世界同一基準でレストランを選定するセレクションがほかにも存在するいま、ミシュランガイドは今後よりいっそう、都市ごとのあるべき軒数や基準を統一化していくのではないだろうか。今回のセレクションはそのあらわれと読むことができる。

ミシュランガイド東京のセレクションが初めて発表された2007年、三つ星は8軒、二つ星は25軒、一つ星は117軒が選ばれていた。

それから18年を経て、ミシュランガイド東京は、星付き店の軒数としてはほぼ同じに、そこにさらにビブグルマン110軒、セレクテッド227軒を加えて、さらに厚みのあるセレクションになったといえるだろう。

星野 うずら レストランジャーナリスト

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ほしの うずら / Uzura Hoshino

出版社勤務のかたわら、アジアやヨーロッパなど海外のレストランを訪問。個人サイト「モダスパ+plus」やTwitter(@caille2006)で、「ミシュラン」「ゴ・エ・ミヨ」などガイドブックの解説記事やレストラン評を執筆。飲食専門のポータルサイトでシェフインタビュー連載中(飲食店.com)。Instagram(@photo_cuisinier)では、飲食に携わる人のポートレートを撮影している。
 

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