朝ドラ「おむすび」で"ギャル文化"がスベッたワケ 「平成」リバイバルブームが起きているのになぜ?
本作の時代設定は2004年。作中では20年前のギャル文化を描いているというが、実はこの20年という年月は、“流行の周期”として知られている。実際、2020年代に入ってから、「平成ギャル文化」の再ブームが起きている――と言われている。
『おむすび』は、そのブーム再来にあやかったように見えるのだが、それにしては評判がよろしくない。なぜなのだろうか?
そもそもなのだが、実際の流行の周期は、20年周期とも言い切れない。
20代で子どもが産まれ、20年後にその子どもが成人し、その頃には自分も企業の中間管理職くらいになっており―――という時代であれば、メディアや広告会社で意思決定できるようになった人たちが、自分の青春時代のトレンドを復活させ、消費者側は親子でそれを受容するというのも通常のことだっただろう。
しかし、ライフサイクルが多様化している現在では、その周期性がだいぶ崩れてしまっている。
Z世代にブームの「平成文化」はギャルじゃない?
現在の「平成ギャル文化」ブームはちょうど20年でリバイバルが起こってはいるが、これは、リアルでその時代を体験していない現在10代のZ世代の若者たちが新鮮なものとして受容していることが大きい。
さらに、若年層にとっては、平成文化を「過去の追体験」ではなく、新たなファッションとして取り入れており、必ずしも「平成のリバイバル」ということでもない。
「Y2Kファッション」と言われる、2000年代ファッションのリバイバルブームで、K-POPアイドルが当時の日本のファッションを取り入れたことに端を発する。それが日本に逆輸入され、東アジア圏で流行しているという実態がある。これは必ずしもギャル文化のみにとどまらず、より広い領域をカバーしている。
つまりY2Kファッションブームは、20年前の文化とはだいぶ様相の異なる、新しいものと言ってもいい。
ということは、Z世代に『おむすび』のギャル文化がドンピシャで刺さるかといえば、そうとは言えないのだ(そもそも朝ドラを見ている世代ではないかもしれないが……)。
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