オーケー「関西初進出」で見逃される"本当の強敵" vsライフ…ではなく、もっと怖い存在がいる

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また、オーケーは価格だけでなく、顧客満足度も高い。日本生産性本部が発表しているJCSI 日本版顧客満足度指数 2024年度第1回調査のスーパーマーケット部門でオーケーは堂々の1位を獲得しており、14年連続の1位である。この満足度が関西でも健在ならば、オーケーに軍配が上がるかもしれない。

一方、万代の強みはやはり、これまで関西圏を中心に営業しており、地域の顧客の性質を知っていることだ。また、ダイヤモンド・チェーンストアの取材に対して、ある在阪の新聞記者は「大阪には安売りをする店が多いですが、万代は生鮮食品の鮮度や品揃えなど『低価格+α』の“総合力”があるといえるのではないでしょうか」(ダイヤモンド・チェーンストアオンライン「連載 スーパーマーケットの2020 #9 万代」)と答えている。安さだけではない強みがあるというのだ。

加えて、販売ノウハウも高く、販売力は他店に比べて1.5倍というデータも出ている。徹底して「売りこむ」という、非常に関西圏らしい売り方で、西日本でのシェアを勝ち取っており、オーケーがこの牙城を崩すのは高いハードルになりそうだ。

オーケー、関西のスーパーの勢力図を変えられるか?

ところで、オーケー高井田店のフロア構成を見ていて気付いたことがある。5階が関西事務所になっているのだ。つまり、ここが関西出店の中心地となるわけだ。よくよく考えてみれば、周囲にスーパーがひしめくこの立地、確かに他店の動向を把握するのにもってこいだと言える。

オーケー
ここがオーケー関西の本拠地に?(筆者撮影)

その意味でも、高井田店そのものが苦戦したとしても、今後、関西の出店数をどのように伸ばすかの戦略を練るには、このうえない立地だとも言えそうだ。

前述したように、かつて津田沼では、百貨店や総合スーパーがしのぎを削り、「津田沼戦争」と呼ばれた。しかし、徹底した「安売り競争」で、その結果として両陣営とも体力が削がれ、駅前が寂れてしまう……という結末となった。

イトーヨーカドー津田沼店
9月末に閉店してしまったイトーヨーカドー津田沼店。「津田沼戦争」の一角を担った(筆者撮影)

では、オーケーvs万代の戦いも同じようになるのか? なかなか予想が難しいところだが、筆者としては「そうはならないのではないか?」と感じる。何もしなくても物が売れた時代はすでに終了し、今は工夫を凝らしたり、企業努力を止めない店だけが残ることができる時代だ。

オーケーも万代も、どちらも安さだけではない、「+α」の魅力を提供しているスーパーであり、周囲の生活者の生活を今まで以上に豊かにしてくれるのではと考えている。

高井田戦争の火蓋は11月26日、切って落とされる。関東企業の関西への進出は、風土の違いや商習慣の違いもあるから一筋縄ではいかないだろうが、良い戦いになることを期待したいものだ。

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谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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