「非ミニマリスト」の89歳、モノを捨てない住まい方 "終活"とは逆行でも「いらないものなんてない」

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1人で自由に好きなことに浸る時間は、この世に1人しかいない自分を大切にする時間だ。「シニアソロ活」を絶賛実践中の小森さんは、定年退職をした人、子育てや主婦業を卒業した人たちにこそ、ソロ活を勧める。

「1人でやりたいことができる、行きたいところに行けるという経験は、これからの老後の自信にもつながると思います」

部屋の中
小森さんの現在の住まい(筆者撮影)

小森さんのシニアソロ活の充実ぶりは、住まい方にも大きな変化をおよぼしている。

20代で暮らした木造アパートを振り出しに、2度の引っ越しを経て、38歳のときに360万円で都心のマンションを購入。それまでは、どの住まいも家賃と交通の便を優先して、一間暮らしだった。

幼稚園教諭の他に生活費の足しにと副業を掛け持ち、20代で加入した東京ユース・ホステルでは事務局長を務めるなど、公私ともに多忙を極めていた現役時代。当時の小森さんにとって「住まいは活動地点」でしかなかったのである。

「非ミニマム」な住まい方

しかし、あらゆる肩書から下りて、65歳のときに次姉の家にも近い神奈川県川崎市の3LDKのマンションを購入後、ソロ活の道具や材料が爆増していく。

調理師資格を持つ腕前の料理、お茶に仕舞、編み物、折り紙、ハンドクラフト、旅行……。それらのソロ活の成果を惜しみなく「人をもてなす」ことに活用する小森さんは、来客用の和洋中の食器やグラス、プロ仕様の調理器具などを数多く所有している。

お茶道具や着物、大小のスーツケースなどの大物以外にも、旅先で買い求めた思い出の品々や友人からの贈り物など、心を癒す小物も増える。

「部屋が3つあるので、寝るときは寝室、おもてなしはあっちの部屋、手仕事はこっちの部屋と移動しながら、全室フル活用していました」と笑う。1人暮らしの3LDK全室が、小森さんの活動地点そのものだったのだ。

そんな15年間の勢いある住まい方に幕を閉じ、80歳のときに移り住んだ人生最後の住まいは17畳の一部屋。再びの一間暮らしとなる。

お茶道具
大切に保管しているお茶道具(筆者撮影)
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