損保ジャパン、東京海上…AIで進化する「保険業務」 引き受け判断や、人工衛星データ分析に活用
「担当者が悪質クレームを受けても我慢して対応したり、管理者によっては悪質クレームを受けていることに気づかなかったりした。システムが稼働して発生状況が『見える化』され、現場の対応力が向上している」(業務プロセスデザイン部)。
2カ月の審査が2~3時間に短縮
損害保険ジャパンは、保険引受システム「アンダーライティングイノベーションプロジェクト」にAI機能を搭載し、人が担ってきた引受判断のルールをAIに学習させて効率化している。
このプロジェクトは20年度より、企業向け火災保険から適用を開始し、ほかの種目への展開を狙っている。企業向けの火災保険はオーダーメイドで、当該企業が持つリスクを総合的に判断し、引き受ける場合の保険料や引受額を決める。
オフィス・工場の構造、施設内の設備や機器、業種、業務内容などリスクは多岐にわたり、引受業務は膨大なデータを読み込んで判断しなければならない。同社はこの作業に際して、データ統合・分析システム「ファウンドリー」を導入、23年から引受申請機能が稼働した。
担当社員が引き受けできると思われる案件をファウンドリーが自動判断、本社商品部に申請するまでの業務を行う。企業向け火災保険は一定規模の企業が対象で、引き受けが適切かどうかの判断には1件当たり約2カ月かかっていたが、自動判断では2~3時間程度で可否が出る。
あいおいニッセイ同和損保では昨年、AIを活用した保険金請求の不正検知システムを開発。自動車修理費の不正請求撲滅に乗り出している。過去の保険金請求見積書や事故データ約420万件を登録し、AIに学習させる。約200の事故車両データを組み合わせて、さまざまな請求パターンを作成させる一方、過去の不正請求疑義データを基に不正疑義モデルを作った。
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