<独自>金融庁が中古車販売大手ネクステージと保険代理店のFPパートナーに行政処分を検討、保険販売の管理体制に不備か

金融庁は、東証プライム市場に上場する中古車販売大手ネクステージと、「マネードクター」のブランド名で保険代理店事業を展開するFPパートナーに対して、保険業法に基づく行政処分を科す方向で検討に入った。
保険代理店を兼業する自動車販売業者をめぐっては、旧ビッグモーター(現WECARSとBALM)による保険金不正請求問題が顕在化して以降、同種の不祥事が業界内で頻発していた実態が浮き彫りになっている。
金融庁は昨秋から、トヨタ自動車の完全子会社で、東京都内に200店舗超の販売店(ディーラー)を展開するトヨタモビリティ東京や、「ガリバー」のブランド名で中古車販売事業を展開するIDOM(イドム)、同業大手のグッドスピード(GS)に対する立ち入り検査を実施。ネクステージに対しては、2024年12月から検査に踏み切っていた。
数々の不正行為が明らかに
検査に入った4社のうち、トヨタモビリティ東京とグッドスピードの2社に対しては、保険金不正請求や販売管理体制の不備などを理由に2025年1月に業務改善命令を出している。
ネクステージでも、過去に自動車保険の契約を捏造したり、保険契約を条件に車両価格を割り引いたり(保険業法が禁じる特別利益の提供)、タイヤの交換費用を不正に請求するといった行為が発覚している。
2023年9月には、メディアから不正行為について問い合わせを受けた直後に、保険代理店事業を担当する役員が亡くなったほか、不正行為に関する一部報道などを受けて、旧ビッグモーター出身の浜脇浩次氏が社長を辞任。それ以降も、メディアなどに不正行為に関する社員の内部告発が相次いでいた。
内部告発の中で目立つのが、「タイヤパンク保証」を利用した不正請求や、車両の板金修理における不適切な費用請求の疑いだ。
同社は2023年8月に「昨今の自動車業界における不正車検、保険金水増し請求の問題を受け、当社社内で調査を行った結果、不正な案件については確認されませんでした」という声明文を出している。
一方で、ネクステージ社員など複数の関係者によると、当時の社内調査は三菱UFJ銀行などとの取引継続に向けた「短期間かつ形式的なものだった」といい、実態把握や再発防止のために十分な調査を行っていなかった疑いがある。
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