<独自>金融庁が中古車販売大手ネクステージと保険代理店のFPパートナーに行政処分を検討、保険販売の管理体制に不備か

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それだけではない。社員がオークション業者などを通じて仕入れた車両を自前で転売したり、会社名義のパソコンを横領したりと、犯罪行為が疑われる不正も浮上している。コンプライアンス(法令順守)などの内部統制にも重大な欠陥を抱えている可能性がある。

ネクステージの保険代理店としての収入保険料は、2023年11月期で191億円。そのうち4割程度は損害保険ジャパンが占めており、大手損保の中では最も関係が深い。

というのも、2024年2月までネクステージの社外取締役を務めていた福島純子氏は、損保ジャパンの出身。さらに、同じく社外取である遠藤功氏は、損保ジャパンの親会社SOMPOホールディングスの社外取も務めている。

行政処分となれば、損保ジャパンに加えてネクステージの代理申請会社である東京海上日動火災保険や、タイヤパンク保証の提供元であるあいおいニッセイ同和損害保険などの保険会社も、代理店の管理・監督責任が改めて問われることになる。

顧客の商品選択を阻害したおそれ

一方、保険代理店専業大手のFPパートナーをめぐっては、生命保険各社による広告料の提供や採用活動の支援、契約見込みのある顧客情報の無償提供といった便宜供与の実績を基に、顧客に優先的に推奨する商品を決めていた疑いがかねて指摘されていた。

そのため金融庁と関東財務局は、顧客の意向を軽視し、最適な商品選択を阻害しているおそれがあると見て、昨夏から便宜供与などの実態調査に着手。調査対象はFPパートナーに商品を供給している東京海上日動あんしん生命保険、SOMPOひまわり生命保険、アフラック生命保険、なないろ生命保険、メディケア生命保険、はなさく生命保険、FWD生命保険、アクサ生命保険の8社だった。

ヒアリング調査では、生保各社が相場と乖離した多額の広告料を支払っていたり、その生保の商品を販売するとFPパートナーが販売成績評価で倍率を上乗せしたりといった実態が判明。さらなる調査が必要と見て、金融庁が昨年末から立ち入り検査に踏み切っていた。

金融庁
金融庁は2024年12月からネクステージとFPパートナーへの立ち入り検査を実施している(編集部撮影)

生保業界は過去に、そうした保険代理店に対する過度な便宜供与や、キャンペーンと称した手数料の上乗せ行為に歯止めが利かなくなり、保険募集に関するガイドラインを見直して是正に努めていたはずだった。

今後、FPパートナーはもとより、過度な便宜供与ですり寄ってきた生保各社についてもその「行儀」の悪さが改めて露呈することになりそうだ。

「東洋経済オンライン」では、特集「保険 異常事態」で、1年余りで3回もの行政処分が下る損害保険業界の異常事態を詳報しています。

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中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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