金融庁、トヨタ自動車子会社などを行政処分へ 保険金不正請求や体制整備義務違反を問題視

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トヨタ自動車の完全子会社で、東京都内に200店舗超の販売店(ディーラー)を展開するトヨタモビリティ東京(記者撮影)

金融庁は、トヨタ自動車の完全子会社で、東京都内に200店舗超の販売店(ディーラー)を展開するトヨタモビリティ東京(東京都港区、佐藤康彦社長)と、東海地方で中古車販売事業を展開するグッドスピード(名古屋市、加藤聡社長)に対して、保険業法に基づく業務改善命令を出す方向で最終調整に入った。

トヨタモビリティ東京をめぐっては2020年2月に、全体の約3割に当たる約70店舗で、2000件を超える車両塗装費用などの保険金水増し請求が発覚。2021年には国土交通省関東運輸局の監査によって、検査した機器の計測値を改ざんするといった不正車検も発覚しており、当時の経営陣らが「謝罪会見」を開いている。

体制整備義務違反を問われる可能性

金融庁は保険代理店を兼ねるトヨタモビリティ東京に対し、昨秋から立ち入り検査に入っている。検査の結果、保険金の水増し請求のほか、保険の契約者情報のずさんな管理や情報システムを通じた意図的な漏洩など、保険業法に基づく「体制整備義務違反も発覚している」(大手損害保険会社役員)という。

さらに、保険業法が定める「比較推奨販売」ルールにおいても、不適切な事例があったようだ。同社が店舗ごとに担当する損保会社を決める「テリトリー制」を敷いて、担当損保の商品を集中的に推奨しながら、明確な推奨方針を定めておらず、さらに推奨理由を顧客に一切説明しないなど、「ルールを逸脱した販売が一部の店舗で横行していた」(同役員)とみられる。

保険契約の見返りに、新車の販売価格を割り引くといった保険業法(300条1項5号)が禁じる特別利益の提供行為については、今回確認できなかったようだ。

トヨタ自動車グループ唯一の直営ディーラーとして、手本となるべき同社が「保険代理店としてあるべき体をなしていない」(損保幹部)ことを金融庁としては重くみて、行政処分が避けられないと判断したとみられる。

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