そこそこ健康な89歳「共同生活を選んだ」深い理由 老人ホームやシェアハウスとも違う「終の住処」

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「今、ここで暮らしているのは、似たような年代で、一人暮らしに不安を感じて、何かつかまりどころというか、人のつながりを探していた人たちです。老化は誰も通る道として衰えをわかり合い、認め合いながら、皆が皆を“見守る目”になっていける。そういう雰囲気作りをすることが、理事長の私の役割だと思っています」

自分を見守ってくれる目があり、自分も誰かを見守る目になる。気になることは事務局スタッフに伝えて情報を共有し、必要に応じて福祉につなげていく。

おでんせができてから9年。最初から入居していた人たちも同じだけ年を取った。すべて自分たちだけで暮らすことは難しく、公的な支援を受ける人も出てきているのが現実だ。

おでんせ
自主サークルで制作した作品たち。活動は自由参加で、もちろんサークルに入らなくてもいい。こうした緩い付き合いも「見守りの目」となる(撮影:尾形文繁)

度重なるケガも事なきを得た

実は小森さんは今年1月の早朝、室内で転倒し、左ひざの皿を割ってしまった。

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「ベッドで寝ていたら、『小森さ~ん』と呼ばれた気がして、寝ぼけ眼のままベッドから降りようとしたら、脚がもつれてしまって……(笑)」

その3日後、室内で杖を突きながら移動しているとき、杖の先が滑った拍子に転んで、右手首を骨折。どちらの場合もオーナー夫妻に電話をし、すぐに駆けつけてもらって事なきを得た。

65歳以上の一人暮らしが増加し続けている日本。ゆるやかな共同生活のもとで助け合い、必要な支援を受けながら終末までできるだけ自立した生活を送る。56年の一人暮らしの結実として、小森さんはグループリビングを選んだ。

「私の最後の生きる場として最高の出会いです」

おでんせ
廊下に設けられた休憩スペース。誰からともなく、本や雑貨を置き、くつろぎの空間が出来上がった(撮影:尾形文繁)
【写真】“そこそこ健康な高齢者”の気ままな共同生活!? 小森さんが見つけた「超理想的な住まい方」(10枚)
桜井 美貴子 ライター・編集者

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さくらい みきこ / Mikiko Sakurai

1965年生まれ。秋田県出身。出版社勤務の後、フリーランスの編集・ライターとして独立。医療、カネ、性などさまざまなテーマで取材、執筆を続けている。生活実用をはじめとした書籍の企画編集、人物インタビューなど、硬軟の現場を渡り歩く。

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