沼津餃子って?地元民が熱狂する「中央亭」の謎 「クタッとした餃子」から感じた自信と誇り

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「沼津の人は地元意識が強くて、市外へ嫁いだり、転勤したりした方が帰省するたびに立ち寄ってくださいます。その方々が地元の知り合いにお土産にと買われて、食べた方が店に来てくださって、またどなたかにお土産として贈る。その繰り返しでした。今はSNSを見て県外や外国からも来られるお客様が多いですが、口コミに勝るものはないと思っています」(友田さん)

沼津餃子というコトバは時期尚早?

おっと、あまりにもおいしかったので沼津餃子のことを忘れていた。

「当店には支店や姉妹店、のれん分けの店はありません」と友田さん。店の壁にも同じことが書かれた紙が貼られていた。にもかかわらず、「中央亭」とよく似た、というか真似た餃子を出す店があるようで、どうやら沼津餃子というコトバはその界隈から出てきたらしい。

中央亭 餃子
茹で上がった餃子。年末年始は300個、400個と100個単位で注文が入るという(筆者撮影)

もちろん、浜松のように餃子を沼津の名物にして、地元を活性化したいという思いもあってのことだろう。しかし、その場合、元祖である「中央亭」に意見をうかがうのが筋というものだ。

ひと頃流行ったフルーツ大福やフルーツサンドも然り、人気商品が生まれると、それにあやかりたいと二番煎じや三番煎じが出てくるのは世の常である。「中央亭」にしてみれば迷惑この上ないだろうが、筆者としてはそれを否定するつもりはない。むしろ、真似をする店がどんどん出てきて、それぞれがお互いに切磋琢磨しておいしい餃子が生まれることを歓迎する。

中央亭
友田さんとともに店を切り盛りするのは娘や姪たち。チームワークの良さが自慢だ(筆者撮影)

それにいくら形だけを真似しても、「中央亭」の餃子にはならない。皮の厚みや餡の中身、肉とキャベツの割合、さらにはからし油を再現することは、仮にレシピを入手したとしても不可能である。なぜなら、友田さんをはじめ、「中央亭」で働くすべての人は自分たちの作る餃子に絶大な自信と誇りを持っているからだ。

そんな中でやれることは「中央亭」の模倣ではなく、まったく異なるテイストの餃子を作ることだろう。多種多様な餃子が沼津から続々と生まれたときに初めて「沼津餃子」として町おこしができるのではないか。筆者自身、これまで数多くの町おこしに携わってきただけに、そう思えてならない。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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