日本で中央銀行の独立性が大事にされないのには理由がある。
9月末の自民党総裁選前後から、政治家らの金融政策に関する発言が金融市場を揺るがす場面が目立ち始めた。
まず、総裁選に先立ち、高市早苗前経済安全保障相が「金利を上げるのはあほやと思う」と発言。また、総裁選後は、勝利した石破茂首相の利上げに関する発言が金融市場を混乱させた。
政治家らの発言で金融市場が揺れ動くのは日銀の独立性が脆弱なためだ。金融政策が政治介入されやすい理由を考察してみたい。
先進国で中央銀行への注文はタブー
政権与党の要人が金融政策で何らかの注文があっても、わざわざ公言するのは「先進国のマナーとしてふさわしくない」(シンクタンクのエコノミスト)というのが金融市場の一般的な理解だ。
アメリカではトランプ氏が大統領だった時代に米連邦準備制度理事会(FRB)に露骨な注文を付けていたが、あくまでも同氏の傍若無人なキャラによるもの。歴代政権はFRBを尊重してきた。これは英国やユーロ圏など他の先進国も同様だ。
先進国に限らず、多くの国が中央銀行の政策運営を尊重するのは、法的な独立性が担保されているためだ。
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