三井住友「Olive」を生んだ3人の男たちの"秘話" わずか1年4カ月で300万アカウントを突破

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Oliveの発表会見をするSMBCの太田純社長
サービス開始からわずか1年4カ月で300万アカウントを突破するほどの人気ぶり(撮影:尾形文繁)
「金利ある時代」の到来は銀行業界にどのような影響を及ぼしているのか。『週刊東洋経済』11月2日・9日合併号の特集は「銀行 大波乱」だ。各行のデジタル戦略や、利上げがもたらす意外な影響などを深掘りしつつ、独自のランキングも交えて、銀行業界の最新動向を紹介する。
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2017年4月、東京・銀座に大型商業施設「GINZA SIX」が開業した。その前面の一等地にひときわ目立つ店舗がある。

ロビーでコンシェルジュが顧客を出迎え、事務手続きのためのタブレットを配置したペーパーレスの窓口、個室で相談できるプレミアムゾーンなど、まるで高級ブティックのよう。実はこの店舗、三井住友銀行の銀座支店なのだ。

それまでは行員の執務スペースが3分の2を占め、顧客スペースはわずかだった。デジタル化を進めることでそれを逆転させ、顧客スペースを拡大。「店舗を事務手続きの場から、コンサルティングの場に」を旗印にスタートした次世代店舗の第1号だったというわけだ。

そんな銀座支店オープンからさかのぼること数年前、3人の男たちが顔をそろえていた。当時、企画担当役員で後に三井住友フィナンシャルグループの社長になる太田純(故人)、システム担当役員で後に日本総合研究所社長になる谷崎勝教、そしてリテール担当役員で後に三井住友カードの社長になる大西幸彦だ。

デジタル起点でシームレスに

3人は、「コンサルティングを中心とした店舗に改革しよう」との意見で一致。すぐさま谷崎と大西は欧州に出張し、銀行を視察する。そこで目にしたのは、デジタル社会に対応したスマートな店舗だった。

「これからは日本もデジタル社会になる。そんな時代にマッチした銀行にしなければならない」。そう意を固めた3人は、日本総研を軸に銀行とカードのシステム共通化に取りかかる。そのうえで親密だったVISAカードに話を持ち込み、世界で初めてキャッシュカード1枚でクレジット、デビット、ポイント払いという3つの支払いに対応した「フレキシブルペイ」と呼ばれるカードの開発に協力してもらった。これが23年3月からサービスをスタートさせた「Olive(オリーブ)」誕生のきっかけとなった。

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