「四足歩行の若者が続出」ロシアで大問題なワケ 歌手や政治家、ロシア正教も問題視している

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過度な自由主義を脅威と感じているのは、何もロシア正教の信徒だけではない。アメリカの共和党の強固な支持層であるキリスト教右派は、同性愛や人工妊娠中絶に強い抵抗を感じている社会層である。そしてこれらの問題はアメリカ政治においても大きな争点になっている。

日本でも夫婦別姓の是非が今回の衆議院選挙の大きな争点の1つになっているが、これもまた、日本の伝統的価値観、保守的な家族観に関する問題である。

国家が外的脅威を感じると寛容性が失われる

そう考えれば、ロシアでのクアドロビクスをめぐる騒動も、日本の政治状況とそう遠く離れているわけではない(ちなみにロシアでは夫婦別姓が認められているそうである)。そもそも、こうした価値観の問題をひとくくりに評価すること自体ができない相談なのだ。

ウクライナ紛争について触れれば、2022年秋にロシアが30万人の予備役を動員したことで騒がれたが、ウクライナはもっと大規模な動員を行っており、いま新たに徴兵年齢を引き下げようとしている。

自由な社会、寛容な社会という理念と、団結した社会、国家という理念は、互いに相いれないのかもしれないが、ロシアやウクライナを見ていると、国家が外的脅威を感じるようになれば、必然的に社会的な統制が強まり、寛容が失われるようになるのは共通の事態のようだ。

亀山 陽司 著述家、元外交官

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かめやま ようじ / Yoji Kameyama

1980年生まれ。2004年、東京大学教養学部基礎科学科卒業。2006年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修了。外務省入省後ロシア課に勤務し、ユジノサハリンスク総領事館(2009~2011年)、在ロシア日本大使館(2011~2014年)、ロシア課(2014~2017年)など、約10年間ロシア外交に携わる。2020年に退職し、現在は森林業のかたわら執筆活動に従事する。北海道在住。近著に『地政学と歴史で読み解くロシアの行動原理』(PHP新書)、『ロシアの眼から見た日本』(NHK出版新書)

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