「生成AIのせいで理系は終了?」いま必要なスキル 東大・松尾豊研究室出身 若きAI研究者が回答

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「当時のポケモンのレーティングバトルで7位だった時の写真です」(今井さん)(写真:エンジニアtype編集部)

理系人材は「売り方」「トーク術」を侮っちゃいけない

━━以前松尾先生にインタビューした際にも「AIについて考えるとは、人間を知ることだ」というお話がありました。だとすると理系だけ、文系だけのアプローチでは足りないというのも納得です。

はい、実際、松尾先生から技術的なことを教えられたことはほぼないです。

むしろ、「哲学が重要だ」とか「死ぬほど考えないとダメだ」といった話とか。他にも「言語とは何か」「コミュニケーションとは何か」など、エンジニアリング的なことはおそらく一回もなく、非常に人間的なことを教えられた気がします。

(写真:エンジニアtype編集部)

僕自身は「人間学の博士になる」と言ってきました。昔から「人間のことを知る」「そもそも人間はどういう気持ちで動くのか」といったことにめちゃくちゃ興味がありました。

AI研究はジャンルとしては認知科学の一分野ですから、人間に詳しいのはある意味では当たり前。ですが、繰り返しになりますがそれ以外の分野、コンピュータサイエンスやエンジニアであっても「人間を学びましょう」と言いたいです。

心理学とかのかっちりした学問でなくてもいい。メディア学、広告学、マーケティングなどからも学べることがあるはずです。

理系、学問をやっている人は「売り方」とか「トーク術」みたいなものを馬鹿にする傾向にあります。しかし、それらは第一線の人が人間を相手にしつつ得た知見なので、貴重です。

もちろん、これだけだと実力なき者が絡め技でのさばるようなことになるので論外ですが、プログラミングなどの技術が身に付いていることは前提として、そういうものが上乗せされた理系人材こそが、これから活躍するのではないでしょうか。それは生成AIではどうにもならないはずなので。

━━どうにもならない?

ならないです。なぜなら人間には答えがないから。統計的に「こういう心理の傾向がある」といったことは言えると思いますが、さらに深いところ、人に対する合わせ方、柔らかさというのは生成AIにはありません。

そもそも生成AIのダメなところは、人間に忖度しすぎなところです。僕が院生時代、松尾先生のクローンを作ろうとしたことがあります。ファインチューニングを頑張って。ですが、全然ダメでした。

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