「生成AIのせいで理系は終了?」いま必要なスキル 東大・松尾豊研究室出身 若きAI研究者が回答

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(写真:エンジニアtype編集部)

とは言っても、まだハルシネーションの問題はあります。プログラミングにおいても誤った出力をすることが起こります。これは生成AIの基盤技術であるニューラルネットワーク、大規模言語モデルという仕組みで、そもそも解決できるかは明らかになっていません。

なので、出力されたコードを最終的に確認する役割を担う、一定ラインを超えたエキスパート人材の需要は残るでしょう。

少し未来的な話をすると、生成AI単体の出力ではなく、生成AIが外部ツールを使うといった例も出てきています。

例えば、生成AIが勝手にブラウザを開いて必要なドキュメントを参照し、それを元にコードを書き、エラーが出たら自分で解決し、プログラミングの結果を図にして人間に提出する。こういったものがすでに登場しています。今年の春ごろに出てきたAIエージェント「Devin」という技術がそれです。

プログラミングの補助技術も発展が続いています。例えば、GPT-4レベルの生成AI「Claude3.5」には「Artifacts」という補助機能があります。「こういうプログラムを出したい」とプロンプトを入力すると、プログラムを出してくれるだけでなく、同時にそのプログラムを実行した結果や機能なども示してくれます。

逆に、Xの画面をスクショに撮り、それを渡して「同じものを作ってくれ」と言えば、その場で必要なコードを出し、UIも示してくれます。あとはコピペするだけでXと同じものを作ることができる。こういったことがすでにできるようになっています。

なので、この記事を読んだエンジニアが「これはまずいぞ」と普通に勉強したとしても、単純なプログラミング能力では絶対に勝つことはできません。プログラミング分野での発展は今後も続きます。純粋なプログラミング能力で追いつくのは無理です。これは間違いありません。

ただし、AIは「人間の心理」までは配慮できない

━━「最終確認するエキスパート人材のニーズは依然として残る」というのは、どのくらいのレベルを指していますか?

中級レベルでいいと思います。なぜなら、プログラミングの性質上、ある程度までは実行環境でエラーを検出してくれるからです。人間が仲介しなくても既にある程度のセーフティ機能が備わっている。人間が確認するのはそのあとなので、他の分野に比べると「これが間違っている」と分かる確率が高いのです。

中級者と言っているのは、外部のドキュメントを自分で参照し、エラーが何だったのかを突き止めるくらいの能力を持っている人。プログラミングに関して言えば、いわゆる理系ガチガチの人材とまでいかなくても必要とされるでしょう。それどころか、今後は理系で一般的に学ぶこと以外の能力が非常に重要になってくると思います。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事