卒業後の進路、東大生の「コンサル志向」なぜ? 目指すのは大企業で一生安泰の「安定」ではない

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同社に年功序列はない。入社1年目で情勢調査事業責任者に抜擢された衛藤さんは、データアナリストとして全国各地のメディアと合同で選挙の情勢調査を立て続けに実施し、注目を浴びてきた。22年には執行役員に就いた。

衛藤さんにとってこのルートは、最短で「やりたいこと」にアプローチできる会社を、あくまで「ファーストステップ」として選択した結果なのだ。

普段から「依存しすぎない」ことを意識

「今の会社を選んだのは、一つの企業にずっといることはないという前提で、その先を見据えていろんなステップや方向性があり得ると考えた時に、今、何を得ておくべきなのかという観点から導いた結果です。

そういう点では、コンサル業界に就職した人たちと根本的な考え方や判断基準は変わらないのかな、と思っています」

衛藤さんは、会社から与えられるポジションや業務内容に「依存しすぎない」ことも普段から意識しているという。

必要とされる居場所が「今、ここに」あるからといって、それに安住しないストイックな姿勢はまさに、ジョブ型雇用におけるリスク回避戦略であり、「新たな安定」を模索するビジネスエリートの先駆者のようでもある。

将来、日本を離れるという選択肢もあるのだろうか。この質問に衛藤さんはこう答えた。

「十分有力な選択肢だと思っています。高すぎる社会保険料や硬直的な制度を見ていると、何も変わらない気がしてきますね。自分が出ていくしか解決方法はないのかなと思わされます」

これが今どきの東大生の多くが共有している感覚だとすれば、それこそが日本社会にとって深刻なリスクと捉えるべきだろう。

(編集部・渡辺豪)

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