卒業後の進路、東大生の「コンサル志向」なぜ? 目指すのは大企業で一生安泰の「安定」ではない
「コンサル志向が顕在化したのは10年代の中盤以降です」
こう指摘するのは、東大OBでJX通信社(東京都千代田区)執行役員の衛藤健さん(26)だ。衛藤さんは16~20年、東大新聞に在籍し、就職先ランキングの調査・集計にも携わった。東大生のコンサル志向の背景についてこう解説する。
コンサルが有力な選択肢に
「社会でキャリアやスキルを磨くファーストステップとして、コンサルが有力な選択肢になっていると考えています」
終身雇用や年功序列が崩壊しつつある日本。リクルートワークス研究所が22年に実施した大手企業の若手社員を対象にした調査によると、10年以内に退職を考えている若手社員が約74%に上り、今の会社に20年以上勤めたいという人は約26%だった。
若い世代ほど転職を前提に「いかに次のキャリアを選択できる権利を獲得し続けられるか」が新たな「安定」の定義になりつつある。
だとしても、東大生はなぜコンサル業界を選ぶのか。20年に東大新聞とNewsPicksが東大生を対象に行った調査からそのヒントがうかがえる。
民間企業への就職を希望する約200人のうち、「コンサルティング・シンクタンク」を志望するのは約16%で、「IT・通信」の約17%に次ぐ2位。金融・証券、食品、メーカーなど他大学の就活生に人気の業界をしのぐ支持を集めていた。
コンサル業界の志望理由で目立ったのは「能力があれば相応の収入を約束され、また転職もしやすい」「自己の成長の機会がある」「転職ができる」といった回答。ほかに「いろいろな業界に携われる」「BtoBを知る(ことができる)」「大企業の経営課題解決に携わることができる」といったコンサル業務のイメージも浮かんだ。