最盛期から半減「やきとり大吉」"反転攻勢"の秘策 課題は店主の高齢化、「白い大吉」で若返りを図る

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このような店を作るに至ったのは、2021年、全国1万人に「大吉は世の中のお客様からどう見られているのか」というアンケートをとった結果を反映してのことだ。その結果、大吉の認知度は全国で非常に高かったそうだが、「入ったことがあるか」と聞くと極端にスコアが下がったそうだ。

さらに、「知っているけど行ったことない」人も多く、その原因で一番多かったのが、「中が見えにくい」「どんな店主がいてどんな雰囲気で、どんな席構成なのかが見えにくく、入りづらい」だったという。

「大吉の店主はよく『3回来た人は絶対常連にする』と自信満々に言うのですが、その最初のハードルが高いことが分かりました。そこで、最初の一歩を踏み入れてもらう店を開発したんです」(近藤社長)

白い大吉は現在、東京、神奈川、大阪、兵庫に9店舗あり、事業を検証するため、客層、客数、ABC分析などデータを取って検証中だ。現状、赤い大吉に訪れる顧客の女性比率が2、3割なのに対して、白い大吉は5割が女性。20代も取り込めているという。

白い大吉 青木店の外観
白い大吉 青木店の外観。窓が大きく、中がよく見える(写真:ダイキチシステム提供)

また、白い大吉はメニューも「若者や女性に受けるものを」と、赤い大吉の焼鳥に加えて、ガリ・しそ・トマトを甘酢で味付けした「ガリしそトマト」など一品物を置いている。これらのメニューは、客の反応が良ければ赤い大吉へも随時移植しているそうだ。

「大吉には直営店がなく、テストキッチンもないので、これまで商品テストができませんでした。白い大吉はその役割も果たしてくれています」(近藤社長)

赤い大吉の店主からは、当初「こんなメニュー作れるかな」と不安の声もあったそうだが、顧客の好評を受けて、「これからもいいメニューがあったらうちにも回してね」とよく言われるのだとか。今後については白い大吉のデータを見定め、赤と白のすみ分けを考えていく構え。ただ、店主との会話から、すでに白と赤の大吉を回遊する客も出てきているそうで、幸先は明るい。

ガリしそトマト
白い大吉で提供している一品メニュー、ガリしそトマト320円(税抜)。2024年3月からは、赤い大吉でも提供を開始し、好評を得ている(写真:ダイキチシステム提供)

赤と白のいいとこどりをした「新・赤大吉」も

さらに2024年8月には、赤い大吉のニューモデル「新・赤大吉」も平和台に誕生した。こちらは、白い大吉の中が見える良さを取り入れた、赤い大吉のテスト店として造られたものだ。

今後赤い大吉が改装していく際に、白い大吉のいいところを取り入れたらどうなるのか。そのイメージを明確にすることを目的に造ったのだという。

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