満身創痍のなか、父は鍋を振り、倒れ込む
城咲さんはホールと洗い場を手伝い、父と従業員が休憩の時に鍋を振っている。
父は調理に入ると使命感が生まれ、体の痛みを忘れるという。そして鍋を振り終わると目がうつろになって倒れ込んでいる状態だ。
「これだけ命を懸けて町中華をやっている人はいないと思います。医者からも止められていますが、これだけ『丸鶴』命の人から仕事を奪ってしまうのが怖いんです。
オヤジからしたら『丸鶴』こそが『生きる』ということであり『夢』でもあるんです」(城咲さん)
思うように鍋が振れないのが不甲斐ない。みんなが働いているのに自分は座っているのが耐えられない。父はそう語る。「俺の店なんだから俺が鍋を振らないとダメだろ」といつも言っているのである。
城咲さんはなんとか60周年まで頑張ってもらい、区民まつりの盛り上がりを見てもらって活力にしてもらいたいと考えている。
「もし私の活動に賛同してくれる職人の方がいればぜひ働きに来てほしいです。技術も惜しみなく教えます。『丸鶴』のこれからをよろしくお願いします」(城咲さん)
60周年の後、もしお店がなくなってしまったとしても、区民まつりで1年に1日は食べられるチャーハンにして行きたい。城咲さんはそう考えている。
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