発達障害の子には通用しない子育ての"正論" 誤った知識は悪影響が大きな「呪い」になる
では、「そういう苦手は、結局どうなったのか」といえば、多くはできるようになりました。「そんなに大変だったのに、どうやって? 誰かよいコーチが見つかったの?」と思いますよね。でも、そういうことではないのです。「ある日突然、練習することも、親が支援することもなく、本人ができるようになった」が答えです。
あまり言われませんが「待っているうちにできるようになる」ことはあります。実際に長女が成長してくるまで、私も誤解していました。
もちろん、事前に「待っているうちにできるようになる」とはわからないし、できるようになるまでの糧にはなっているでしょうから、試行錯誤することは問題ありません。
親だからこそとれる「いろいろ試してダメだったら、とりあえずできるようになるまで待つ」という選択肢を心の中に持っておきましょう。
発信できない子には酷なフレーズ
子育てがうまくいっている人からよく聞くフレーズですが、嘘です。そもそも、人の意思は複雑だし、人はわがままです。「本当はそう思っていないのに、つい悪口を言ってしまう」ことはありますし、「必要だと思うけど、やりたくない」こともたくさんあります。
何より「自分でもどうしたいのかわからない」ことがたくさんあります。語彙や経験、権限に限りがある子どもであれば、なおさらです。子どもの意思を尊重しようとしても、「言っている内容がさっきと違う」「本人の希望に合わせたはずなのに嫌がる」ことは日常茶飯事です。
なので、子どもたちには正直に、「親でも伝わらないことはあるし、かなえられないこともある。親でもそうなのだから、先生や友達にはたぶんもっとある。でも、口に出すことで伝えることはできる。だからこそ、自分の意思を持つことと、それを他人に伝わるように話すことは大事なんだよ。他人はあなたのことがわからないから、わかってほしいなら、あなた側からわかるように表現しないといけないよ」と、年齢に合わせつつ何度も伝えています。
また、「子どもの意思を尊重する」というフレーズは、かえって子どもに負担を強制する側面もあります。意思は本人が発信するしかないので、発信できない子には酷なフレーズなのです。
「親の大変さ」の総量は、以下の式で表せます。
=①試行錯誤の大変さ+②誤った知識や思い込みによる大変さ+③親側の感情的な大変さ
①は年単位でかかったり、いつまでもなくならなかったりすることもありえますが、②は正しい知識を知った瞬間に消えます。③は考え方を変えることですぐ減らせます。大変さが減ると考える余裕が生まれ、試行錯誤の手数を増やせます。
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