理解しがたい「他人の行動」心読める行動パターン 人間関係を築く指針となる「愛着行動システム」

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少し時間に遅れただけで(自分にとっては大したことではないのに)パートナーがあんなに強いリアクションを見せるのはなぜだろう、もう仕事が手いっぱいなのに、どうして頼まれるとなかなかノーと言えないのだろう、なぜ自分の気持ちに寄り添ってくれない人を親しい仲間に引き入れようとしたんだろう、パートナーの感情的な反応にいつも共感できないのはなぜだろう──そんなふうに思ったことがあるなら、愛着スタイルがそれを理解する手がかりになるかもしれない。

イギリスの精神分析医ジョン・ボウルビィは、部分的にはアメリカの心理学者ハリー・ハーロウの初期の研究をもとにして、愛着理論の大枠を提示した。

ボウルビィの主張によれば、人間の愛着反応は本能的なもので、潜在的な脅威に備えて確実に生き延びられるようにするために、何世代にもわたって脳に生まれつき備わっている機能だという。

そうした反応は、恋愛関係であれ親子関係であれ、あるいは仕事上の関係や、本書にとくに関連するものとしてはリーダーと部下の関係も含めて、人間関係を築き、継続させるための指針となる「愛着行動システム」を形成する。

組織論分野のシンディ・ハザンとフィリップ・シェイバーによる研究は、恋愛関係や家族関係に広く見られるのと同じ愛着の力学が、職場の同僚や上司や部下との関係でも展開されると示唆している。

「安定型」か「不安定型」か

大事なのは、愛着スタイルを性格類型ではなく、全般的な行動様式として見ることだ。手短にいえば、愛着スタイルは「安定型」と「不安定型」の2つの大きなカテゴリーに分類できる。

「安定愛着」とは、信頼とお互いへの親密感にもとづいて関係を築く能力であり、比較的簡単に(また、近しい人としばらく離れなければならないときに、過剰に依頼心が強くなったり不安定になったりせずに)愛情を与えたり受け取ったりできる性向をいう。

安定型の愛着スタイルの人は人口のおよそ半分を占め、一般的に失敗や拒絶に対する不安が少ない。

「不安定愛着」は、通常は3つの下位カテゴリーに分けられる。これらのカテゴリーは研究者によって呼び方が異なるが、反応が不安定なタイプから親密さを求めるタイプまでの連続体上にあると考えられ、一方の端が「不安型」(または「両価型」)、真ん中が「不安・回避型」(または「無秩序型」)、もう一方の端が「拒否・回避型」(または単に「回避型」)とされる。

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