理解しがたい「他人の行動」心読める行動パターン 人間関係を築く指針となる「愛着行動システム」

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人間関係の研究者や理論家は、私たちがこうした欲求を満たそうとするさまざまな方法を、「愛着スタイル」と呼んでいる。

人間の他者とのコミュニケーションのしかたを理解するには、愛着スタイルを形づくる要因──と、それに関連する不安、回避、充足の経験──を理解することがきわめて重要になる。

いつも同じような力関係になったり、同じように対立したりする相手もいれば、そうではない相手もいるのはなぜなのか? 反感を抱いてしまう相手と、なぜか惹(ひ)かれてしまう相手がいるのはなぜなのか? 自分の頭の中の人間関係の設計図を理解したからといって、不愉快な出会いを完全になくせるわけではないが、自分や他者をもっと明確に理解するのに役立つのは確かだ。

人との関わり方にはパターンがある

愛着理論の専門家であるダイアン・プール・ヘラーは、愛着スタイルはその人がもつすべての親密な人間関係に影響し、とくに快適さと安心感を与えたり、求めたりする方法を左右すると述べている。

愛着スタイルは、ジェントルパワー(やさしさの力)に関する私たちの体験にも直接関わってくる。なぜなら、私たちのパワーと愛への関わり方──パワーを使いすぎたり、手放したりするのはどんなときか、そうするときにどれくらい意識的で正直であるか、愛に対してどれくらいオープンか、どんなふうに他者を思いやるのか──は、愛着スタイルによって決まるからだ。

自分の愛着スタイルを理解すれば、自分の中にある見捨てられることへの不安や、共依存、愛着への心理的欲求が満たされるように他者を操作しようとする方法などが明確になってくる。

愛着スタイルとは要するに、私たちのほとんどが幼少期からもっている、人との関わり方のパターンをいう。幼少期は発達中の自我が、外の世界に適応しながら、その世界の不完全な部分から自分を守る方法を初めて学ぶ時期だ。

そうした関わり方のパターンが人に見られ、緩められることで、それに必要な心的エネルギーをほかの基本的機能に譲れるようになる。愛着スタイルは人生のごく早い時期に形成されるため、大人になってからは、完全には自覚しないまま本能的なレベルで働くことが多い。

だからこそ、そのスタイルを少なくとも基本的に理解していれば役に立つ。自分が出合うあらゆるもの──パワー、愛、葛藤、寛容さ、境界線など──との関わり方に、愛着スタイルは影響するからだ。

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