パーパス経営から「エシックス経営」に進化せよ 「多」律背反を解くための商売の基本倫理とは

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第1は空間軸である。ここでは、閉鎖系から開放系へのパラダイムシフトが求められる。人間中心主義から、生物・無生物、地球・宇宙、そして自然や生態系全体に、視野を広げていく必要がある。

その際にヒントとなるのが、日本が古来、大切にしてきた「共生」という生き方である。そして、未来に向けて、私たちは「空間編集力」を鍛えていかなければならない。

第2は時間軸である。過去・現在・未来という時間を、線形に捉えるのではなく、非線形として捉え直す。過去から現在の延長に未来はない。デジタル技術やバイオ技術は、非連続な未来を拓いていく。

一方で、未来や過去が、時間を飛び越えて現在に姿を現す。この「共時性(シンクロニシティ)」は、古来「縁起」という現象として、日本人が大切にしてきたものだ。私たちは、この「時を駆ける」力を起点に、未来の倫理を紡ぎ出す「時間編集力」に磨きをかける必要がある。

第3は価値軸である。価値が多元化する中で、異質なものを同質化する「ダイバーシティ&インクルージョン」から、異質性を包含しつつ、そこから次世代の異質な価値を紡ぎ出す「インクルージョン&ダイバーシティ」へのパラダイムシフトが求められる。

その際には、日本古来の「ムスビ」や「結」の思想がパワーを発揮する。同時に、異質から異次元の異質を生み出す「異質(ヘテロ)編集力」を身に付ける必要がある。

キーワードは「シン三位一体」

これら3つの軸は、独立したものではない。空間は3次元、時間は4次元、そして価値は5次元の広がりをもって、かつ、重なり合っている。これら次元を超えた「三位一体」をいかに編集できるかが、エシックス経営の究極の課題である。

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