亀田製菓が「コメ」を再利用して名刺を作った事情 原料米の副産物からできた「おこめ名刺」を配布

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当初は同社の既存取引先の製紙メーカー数社に開発を打診したが、原料米の副産物を同社が求めるスペックの紙にする技術は極めてハードルが高かった。

難航する中で、開発担当者がたまたまテレビの報道番組で目にしていた、廃棄米を原料とするフードロスペーパー「kome-kami」が突破口になった。1890年創業の老舗紙問屋・ペーパル(奈良県奈良市)が2021年2月に独自開発した製品だった。

亀田製菓側からペーパルにアプローチし、2023年2月に亀田製菓の工場から出るコメを使って製造する開発に着手。約1年で製品化に至った。

亀田製菓は以前から原料米の副産物を粉砕して再利用している。水や油を含んでいるかどうかや、味がついているかどうかなどで複数の等級を設けているほか、粒度によっても複数の等級を設け、用途に応じて使い分けている。「ペーパルの製造技術に合致する等級のものを弊社が提供できたことで、短期間での製品化が実現した」(亀田製菓)という。

コメの会社になる

今回、亀田製菓はこの名刺の制作対象を、営業担当者だけでなく、普段名刺の作成対象にしていない工場のパートスタッフ、百貨店スタッフ、グループ会社従業員にも広げた。

消費者向けの製品を製造しているメーカーが、自社製品をかたどった名刺を社員に持たせるケースはままあるが、多くの場合、対象は営業担当者が中心になる。

亀田製菓自身も5年前、主力製品ハッピーターンのキャラクターであるターン王子をかたどった名刺を社員に持たせたことがあるが、その際はごく普通の名刺用の紙で作り、制作対象も通常名刺を持たせている社員だけだった。

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