「年収500万?」コンサルの俗化が進む困った事情 「安かろう悪かろう」が蔓延し、レベルの低下も

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大勢のコンサルタントを抱えて経営を成り立たせていくためには、新たに仕事を作り出していく必要がある。そのなかで、薄利多売でも売り上げを伸ばしていくということなのだと思う。

コンサルの俗化現象が始まった

世の中の流れに引っ張られるように、戦略系コンサルもかつての少数精鋭主義を断念し、社員増に伴って薄利多売の方向へと舵を切っているというのが現状だろう。「コンサルタントの俗化現象」といってもいいかもしれない。

俗化現象によって、企業は企業で、以前よりも安易にコンサルに依頼する傾向が強くなっているように思う。

ひと昔前のように、社運をかけて戦略系コンサルタントを雇うのではない。ちょっとした業務改善と社員教育まで含めた、お手軽なコンサルタンティングを求めて、総合系やIT系などのコンサルタントを雇う。

もはやコンサルタントという同じ呼称でも、かつてのコンサルタントとは求める能力やスキル、イメージも変わってきているということだ。

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私がコンサルタントになった頃は、日本ではコンサルティングという考え方はまだ一般的ではなかった。まして企業経営の戦略的な部分は経営者が考えることであり、それを外部に委託したり、サポートを求めるということはあり得ないと考えられていた。

そういう時代から見れば、日本の企業の意識もずいぶん変わったし、コンサルタントとしては基本的にはありがたい話だ。

ただし、どうも今度は逆の方向に振れすぎてしまったようだ。

安かろう、悪かろうのコンサルティングが蔓延し、結果としてコンサルティング全体のレベルが落ちている。一方で企業側も、あまりに無作為にコンサルタントに依存するために、自らの頭で考え、判断する力が落ちているようにも見える。

あまりにもコンサルの俗化が進みすぎて、さまざまな問題があちこちで生じているようだ。

堀 紘一
ほり こういち / Kouichi Hori

1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業後、読売新聞経済部を経て、73年から三菱商事に勤務。ハーバード・ビジネススクールでMBA with High Distinction(Baker Scholar)を日本人として初めて取得後、ボストン コンサルティング グループで経営戦略策定を支援。89年より同社代表取締役社長。2000年6月、ベンチャー企業のコンサルティングを行うドリームインキュベータを設立、代表取締役社長に就任。05年9月、同社を東証1部に上場させる。著書多数。

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津田 久資
つだ ひさし / Hisashi Tsuda

東京大学法学部卒業。カリフォルニア大学バークレー校経営大学院修了(MBA)。博報堂、ボストン コンサルティング グループ、チューリッヒ保険などで、一貫して新商品開発、ブランディングを含むマーケティング戦略の立案・実行にあたる。現在はコンサルティング業務を行いながら大手企業などの研修において、論理思考・戦略思考の講座を多数担当。のべ1万人以上の指導実績を持つ。著書に『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか──論理思考のシンプルな本質』『新マーケティング言論』(ともにダイヤモンド社)など、共著に『ロジカル面接術』(ワック)などがある。

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