台湾への「戦略的曖昧性」をアメリカは変えるか アメリカ新政権で試される日本の外交力

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しかし、その鄭氏政権も23年後には清に滅ぼされ、大陸の勢力下に入る。ところが清は台湾統治に積極的でなく、地元民による反乱の連続であった。

そこにやって来たのは、明治の日本だ。日清戦争の結果、清領であった台湾と遼東半島の日本への割譲が下関講和条約で決まったが、台湾には正確には知らされなかった。

台湾は、清に見捨てられたことを契機に、1895年5月に「台湾民主国独立宣言」を行い、日本の占領に抵抗した。しかし、ほどなく、抵抗は日本軍により鎮圧され、日本の領土となった。

第2次世界大戦後は、大陸から中国国民党がやってきて、一党独裁の厳しい統治を始めた。その国民党は、1947年の「2.28事件」をはじめ多くの台湾の人を弾圧・犠牲にした。

「台湾独立」は最悪のシナリオになりうるか

国民党以外に民主進歩党(民進党)が設立され、その後現在のような民主主義と自由な社会になったのは、李登輝氏が1988年に総統に就任してからだ。李登輝氏は、一党独裁を廃止し、国民選挙で選ぶリーダーによる政治体制へと大改革を実行した。

1971年に当時のニクソン大統領が電撃的に中国を訪問し、国交を樹立するとともに、「1つの中国」(大陸側の中国のみを国家として認める)を確認した。国連もそのように認識を変更したため、台湾は国家としてのポジションをほぼ失った。

現在、台湾と国交を持つ国は12カ国で、国際的に孤立した状態だ。そうした中で、アメリカが「台湾有事には軍事力を持って助ける」と明言すれば、これまで自制していた400年来の独立への情熱が再燃する可能性は高い。

独立への動きが出てくれば、中国は軍事力で押さえにくるだろう。アメリカの介入があるとしても、独立への動きを習近平主席は黙って見ていることはできないはずである。

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