台湾への「戦略的曖昧性」をアメリカは変えるか アメリカ新政権で試される日本の外交力

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2024年7月、台湾の頼清徳総統(中)が、台湾東部・花蓮で行われた軍事演習を視察した。アメリカの新政権が台湾にどう向き合うか(写真・2024 Bloomberg Finance LP)

アメリカ大統領選が約1カ月あまりとなった。民主党のバイデン大統領からバトンを引き継いだハリス副大統領は、若さ、女性、有色人種であることを武器に支持率で共和党トランプ氏を若干上回ってきた。

保守系の『ウォールストリート・ジャーナル』紙まで、「トランプはバイデンなら勝てたが、ハリスには勝てない」と社説で述べている。とは言え、これまでの例を見ても、最後の1カ月で逆転現象が発生することも起きたことがある。予断を許せない。

岸田文雄首相が2024年4月の訪米した際、議会演説で「日本としては、世界の平和安定のためにアメリカとともに一定の貢献をしていく」とアピールした。

アメリカの台湾政策「戦略的曖昧性」

アメリカの共和党、民主党双方の支持メディアから「日本との同盟関係が最も重要」との見出しで報じられた。極めて戦略的な演説だったと言える。同盟国に負担増をつねに求めくるトランプ氏への先手としても有効であった。

したがって、どちらが大統領になっても「日本との関係は最重要」との認識は変わらないと思える。今のアメリカにとって最大の課題は「中国との競争」であり、安全保障上も経済上も日本との協働なくしては中国との競争に勝てないとアメリカは見ているためだ。

では、アメリカの新大統領登場によって、日本に与える地政学的リスクとは何か。それは、「アメリカが台湾に対してどう行動するか」だと考える。

これまでアメリカは、台湾有事へのスタンスを「ストラテジック・アンビギュイティ(戦略的曖昧性)」としてきた。すなわち、もし、中国が武力で台湾統一に踏み切った場合、アメリカは「軍事介入を行うのか、行わないのかは曖昧にしておく」ということである。

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