眼圧を決めているのが、眼球にある「房水(ぼうすい)」という液体だ。つねに目の中を循環していて、その量と排出のバランスによって一定の圧を保っている。
ただ、低くても一定の圧がかかるため、視神経乳頭は常にその圧にさらされ、少しずつ傷んでいく。緑内障が加齢によって増えていくのは、そのためだ。もちろん、眼圧が高いほどより早く視神経乳頭が障害されることになる。
では、眼圧はどの程度高くなると、視神経乳頭を激しく傷めることになるのか。相原医師はこう説明する。
「眼圧の正常な範囲は10~20mmHgといわれていますが、その範囲内でも視神経乳頭が傷む人はいますし、反対に眼圧が21mmHg以上でも傷まない人もいます。つまり、個人差が大きいのです」
若くても近視が強い人は注意
相原医師によると、近年は「正常眼圧緑内障」と呼ばれる、“眼圧は正常な範囲なのに視野が欠ける人”が多くなっているとのこと。その理由として考えられるのが、近視の増加だ。
近視の人は眼軸長(眼球の前後の長さ)が正視(近視や遠視などがない状態)の人よりも長く、近視の程度が強いほど長くなる。
「近視の進行によって眼軸長が伸びると、視神経乳頭に向かっている神経線維が眼球の中心に向かって引っ張られます。その結果、視神経乳頭が傷み、とくに中心に近い視野が欠けるのではないかと考えられています」
と相原医師。比較的若い年代で緑内障を発症する人は、これに当てはまる傾向があるが、一般的な緑内障と同じような経過をたどるかどうかは、まだ明らかになっていないという。
また、近視でコンタクトレンズを使用する際には、眼科の受診が必要になる。そこで検査を受けたら緑内障だったということもあるそうだ。
「近視人口の増加に伴って、自覚症状がない早期の緑内障が見つかっているという状況があります」(相原医師)
進行すると失明にいたることもある緑内障。早期に見つけて対応したいところだ。では、早期発見のためには、どのような検査が必要なのだろうか。相原医師は「検査を受ける施設によりますが、最も有効なのは『眼底検査』」と話す。
■眼底検査
眼底検査とは、まばたきを我慢して緑色の点滅を見てフラッシュがたかれて撮影される、あの検査のこと。このように専用のカメラで眼底を撮影したり、眼科医が直接、眼底鏡で観察したりして視神経や網膜、血管に異常がないかを調べる。
この眼底検査によって、視神経乳頭の異常がわかる。
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