マクドナルドの強さ生む「ハンバーガー大学」の志 マニュアルはあくまでも「指針」に過ぎない
1971年の日本マクドナルドの創業以来、マクドナルドは日本でもフランチャイズを拡大し続け、2023年12月期で直営店舗数878、フランチャイズ店舗数2104の合計2982もの店舗を経営するまでになりました。
ところで、みなさんはマクドナルドのことを「外食産業」だというふうに認識していますでしょうか?
アメリカには、NYダウと呼ばれる株式指数があります。アメリカの株式市場に上場しているアメリカ有数の企業30社の株式を集めた指数で、通称「ダウ」「ダウ平均」などと呼ばれています。マクドナルドは、このNYダウの30銘柄に選ばれているのですが、どんな業種の企業として登録されていると思いますか?
実は「外食産業」ではなく「不動産業」で登録
実は、マクドナルドは不動産業で登録されているのです。それはなぜか。理由は、マクドナルドのフランチャイズ・ビジネスのやり方にあります。
現在、アメリカには1万2000店舗ほどのマクドナルドのドライブスルーが存在していますが、それらの土地・建物はすべてアメリカのマクドナルド本社が所有しています。
アメリカ本社の場合は、80~90%の店舗がフランチャイジーによる運営で、残りが直営店舗というところまで、フランチャイジーの比率が上がってきています。
そのため、アメリカ本社の売上の大部分を握っているフランチャイジーが、本社の指示をあまり聞かなかったり、いつ行ってもマクドナルドの理念とはほど遠い不潔な店舗を運営していたりした場合、売上が急減してしまうことになります。
そこで、アメリカ本社はこう考えました。フランチャイジーが運営する店舗の土地・建物は、本社がすべて所有してフランチャイジーに貸すことにし、何か問題があればすぐにキックアウトして別のフランチャイジーと契約を結べるようにすればいい、と。
このようなわけで、マクドナルド本社は無数の不動産を所有しており、それをフランチャイジーに貸すという業態を取っているため、NYダウには「不動産業」として登録されているのです。
このマクドナルドのやり方は実によく考えられていて、店舗オーナーに土地を借りさせたり、所有させたりする日本流のやり方とは一線を画していると思います。ちなみに、私が勤めていた日本マクドナルドでは、日本の土地・建物がアメリカに比べて高いため、アメリカ本社とは少し違う方式を採りました。
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