顧客価値を生むことができる人材、次世代のビジネスモデルを考えられる人材を生み出していきたい--近藤史朗・リコー社長

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本当にわれわれが共有すべき価値観は何なのか、お客様に対して何を提供するのかなど、M&Aによりグループに加わった従業員にも共有してもらえるよう繰り返し発信しています。発信を繰り返すことで、私たちの「ミッション」「ビジョン」「バリューズ」などを明確に伝え、より理解を深めてもらえるよう取り組んでいます。

この中で、グローバル経営を加速させるためのキーワードを3つ掲げました。ローカルでの成功をグローバルな成功につなげる「Think Global. Act Local.」、現場への権限委譲を進める「Trust & Self−Verify」、そして「グローバル人材の育成」です。

顧客価値提供の観点、あるいはマネジメントの観点でどんなことをやらなければいけないか。先に述べた「The RICOH Way」の浸透に続いては「経営の現地化」です。要するに現地の人を育てる必要があります。
 
 いくら外国語が上手な日本人が現地に行っても、現地の人になりきることは非常に困難です。歴史、文化、地域コミュニティなどに根差した経営の現地化ができるのは現地の人です。その人材をどう育成していくかが、グローバル経営を進めるうえで大事なテーマになってきているのです。

つねに過去、現在、未来の中で考える

最後に、未来を拓くグローバル・リーダーということで、新しいビジネスをつくる人材の育成、イノベーションを起こせるリーダーについて話します。素養としては、未来を設計する力を持つ人、同時に将来のリスクを予知し洞察できる人、判断力と責任感のある人、実行に当たって目標実現まで諦めずに挑戦し続ける人、そしていつまでも真摯さを持ち続けられる人を育成していこうと思っています。

過去の事実、今自分が取り組んでいること、その先の未来に起こりうる可能性。リーダーはつねに、この3つを考えて責務を全うしていかなければなりません。過去、現在、未来を考えること、これを一人ですべて管理することはできません。したがって、会社の中でビジネスの変化の予兆はどうあるのかと、つねに過去、現在、未来の中で考えていく必要があるだろうと思います。

また、マネジメントする立場の者は、つねに真摯さを失わないことが重要であり、その素養がないものは高い地位に就けるべきではないという、ドラッカー氏の考え方を念頭に置き、私自身がどうあるべきかつねに自問自答しています。

困難な中でもあきらめず一生懸命進むこと。そして激しい変化が続くグローバル時代に、未来を見通せる力を持ち、真摯で、あきらめずに挑戦し続ける人材こそ次代を担うグローバル・リーダーとなっていくと確信しています。

こんどう・しろう
1973年新潟大学工学部卒業後、同年リコーに入社。エンジニアとして複写機のデジタル化、複合化へのリーダーシップを担う。2004年MFP事業本部長、05年取締役専務執行役員、07年4月代表取締役社長執行役員。

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