財新記者の取材に対して、IBMの中国法人は「わが社は必要に応じて業務の見直しを行う」と回答し、CDLとCSLの閉鎖について否定しなかった。と同時に、「グレーター・チャイナ地区の顧客に対するサポートが影響を受けることはない」とし、事業面の影響は軽微だと強調した。
IBMの中国進出は40年前の1980年代に遡る。同社のサーバーは中国の金融機関や通信事業者に広く導入され、オラクルのデータベースとEMCのデータストレージとともに基幹業務システムのデファクト・スタンダード(事実上の標準)を形成していた。
米中対立の激化が逆風に
ところが、アメリカの情報当局による広範な情報収集が暴露された2013年の「スノーデン事件」をきっかけに、風向きが大きく変わった。中国政府は(国家安全保障上の懸念から)基幹業務システムやインターネットの安全性の管理・監督を強化し、IBMのサーバーを含む外国製品に頼らない情報セキュリティの確保を急いだ。
さらに2018年以降、アメリカ政府が中国の通信機器大手の中興通訊(ZTE)や華為技術(ファーウェイ)などに次々と制裁を課したことで、米中のIT産業のデカップリング(分断)が進行。その結果、(IBMの競争相手である)中国のIT企業が政府の支援を受けて実力を急速に高めた。
こうした事業環境の激変が、IBMの中国事業の逆風になったことは言うまでもない。同社の決算報告書によれば、中国を含むアジア太平洋地域の2023年の売上高は前年同期比6.5%増加したが、中国事業の売上高は逆に同16%減少した。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は8月26日
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