タイムマネジメントの具体的対策としては、次のようなものが挙げられる。
・残業とは基本的に上司からの指示により行うべきものであることを、課長やメンバーともに理解するようにする。残業の運用をルール化する
・残業を前提としない業務を組んでいく。業務時間外の社内ミーティングなどは設定しない、残業しないと完了しない業務は優先度を検討し、見直しを行う
・「ノー残業デー」を設定するなど、課長自らが率先して業務時間短縮に取り組む
・役割分担と権限委譲を徹底する。仕事の目的、目標、やり方(WHY―WHAT―HOW)を明確にする
・仕事の優先順位をつけて、「やらないことリスト」を作成する
・メンバーがいつでも相談できる環境・雰囲気をつくる
・バッドニュース・ファースト(悪い情報、問題は早く報告すること)を徹底する
・定期的に、自分とメンバーの業務内容を分単位で記録し、見直しを行う
リモートワークでのタイムマネジメントの注意点
自宅などでのリモートワークにおいては、出社や退社などの時間的な区切りがつけにくく、終わっていない仕事があれば、夜遅くまでやってしまうということも起こりがちである。
筆者もリモートワーク時、気づかないうちにメンバーの残業時間が膨らんでしまっていたことがあった。それ以降、全メンバーが当日午前中までに残業目的と残業予定時間の申請を行い、あまり多くなる場合にはすぐに対策するようにした。
課長としては、メンバーの勤怠状況を日々把握し、長時間労働になっているメンバーに対しては、その原因の分析や具体的な対策を行っていく必要がある。
安部 哲也
立教大学大学院ビジネススクール(MBA)客員教授・EQパートナーズ代表
福岡県生まれ。修猷館高校卒業。中央大学法学部卒業。BOND大学大学院 経営管理学修士課程(MBA)修了。パナソニック国内・海外部門にてシステムエンジニア、営業、マーケティング、企画、海外(香港)駐在など、リーダーシップ、マネジメントを経験。2002年、企業向け人材開発・コンサルティング会社EQパートナーズ(株)を設立。社長として同社を経営し、チーフコンサルタント・講師として、NTT、NTTドコモ、パナソニック、東芝、キオクシア、NEC、損保ジャパンなどで、経営者向け・次世代リーダー研修などを多数実施。2005年より立教大学大学院ビジネススクールにて、リーダーシップ理論、起業家理論、交渉理論、修士論文指導などを担当。