「永遠の輝き」が世界で安くなっている理由 閉鎖的なダイヤ取引、日本は反対に値上がり
このため今年春以降、田中貴金属ジュエリーやヨンドシーホールディングスといった大手の宝飾品小売りチェーンが、値上げに踏み切った。たとえばヨンドシーは今年4月、3年ぶりにダイヤ関連商品を平均5%値上げした。
新たな取引所開設、業界は懐疑的
実は、価格変動に影響を与えそうな要因が、もう一つある。この9月、シンガポールにダイヤの現物の電子取引所が開設されることだ。研磨ダイヤをサイズや色などで分類して上場し、大量かつ高速で取引する。金やプラチナのようないわば投資商品としての需要に期待しているようだ。すでに、インドやベルギーなどの研磨業者を中心に数十社が参加を予定している。
運営するのは、シンガポールの国営投資会社の傘下の会社。同国在住の著名な米国人投資家ジム・ロジャーズ氏も出資したことで、注目が集まった。
ダイヤの取引所自体は、ベルギーのアントワープなど世界各地に存在する。ただし、これらの取引所は集まったダイヤを品評して売買する、あくまで業者同士の限定的な市場だ。
今回の取引所開設計画に対して、業界では否定的な意見が多い。諏訪貿易の原田取締役は、「ダイヤは築地のマグロみたいなもので一つ一つ中身が違うから、プロ同士の相対取引が基本になる。キズが“特徴”なのか“欠点”なのか、素人には見分けがつかない。取引所は機能しないかもしれない」と言う。
他方、「取引所で成立した価格は、実際の取引の参考価格になるかもしれない」(大手宝飾品メーカー幹部)との見方もある。現在、研磨済みダイヤの卸価格は、米国で発行される業界情報誌「ラパポート・マガジン」に掲載されている。サイズや色ごとに分類して掲載される価格は実勢に合わせて変動し、研磨業者へ買い付けに行く際のベースとなっている。シンガポールの取引所がこうした役割を果たす可能性はある。
いずれにせよ、ドル建てのダイヤ価格は、短期的にはさらに下がるかもしれない。だが、環境面の制約から新規の鉱山開発はほとんどなく、既存鉱山の産出量もすでにピークを過ぎた。同時に世界の人口は新興国を中心に増加が続く。中国に続き多くの新興国でダイヤの需要が増えれば、需給は逼迫し、長期的な相場は上昇することも予想される。少子高齢化で人口が停滞する日本などの先進国からは、バブル時代などに大量購入されたダイヤが還流品として市場に出てくるかもしれない。ダイヤモンドの相場動向は波乱含みだ。
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