日本企業に足りないのは「いい意味の"宗教化"」だ 現代こそ「働く人の腹落ち」が重要!御社はOK?

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その場合、「うちの会社は『知の探索』をやって、投資もなかなかうまくいっていない。でも、我々が作りたい未来の方向感は腹落ちできているのだから、めげずに続けていこう」となるのである。

一方で、経営者や社員に「未来への腹落ち感」がないと、「知の探索」は続けられない。少しでも失敗すると「探索」が無駄に見えて、すぐ腰折れし、「深化」だけに偏るのである。

日本企業に足りないのは、いい意味の「宗教化」だ

このように考えると、日本企業でイノベーションが起きにくい理由、一方でネスレやシーメンスなどのグローバル企業がどんどん新しいことをやりながらも収益をしっかり上げている(=イノベーションを起こし、その果実を得ている)理由がわかるのではないだろうか。

日本企業の多くは、「センスメイキング」すなわち「宗教化」が足りないのだ。

近年は、イノベーション以外にも、「DX」「ダイバーシティ」「人的資本経営」など、様々な施策が議論され、企業に導入されている。私もこれらの施策には賛成だ。

ただ、より本質的な意味で日本企業に足りないのは「宗教化」なのだ。

センスメイキング(宗教化)が浸透しない限り、企業は遠い未来への腹落ちができない

結果、リスクがとれず、「知の探索」ができず、「両利きの経営」が徹底できないので、イノベーションが創出されないのだ。

入山 章栄 早稲田大学ビジネススクール教授

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いりやま あきえ / Akie Iriyama

1972年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で主に自動車メーカーや国内外政府機関へのコンサルティング業務に従事した後、2008年にピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールのアシスタントプロフェッサーを経て、2019年より現職。専門は経営戦略論、国際経営論。著書に『世界標準の経営理論』などがある。

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