2位の明治大学は近畿大がトップになる前まで4年連続志願者数日本一だった。日本一効果で難易度が上がり、トップに立ってからは志願者減が続いた。今年はそれに歯止めがかかり、志願者は190人増の10万5702人。05年比でも37%増だ。この間、全体の受験生数は1割ほど減っているのだから伸びは大きい。
3位は早稲田大学だ。志願者数日本一に長く君臨していたが、ここ2年は3位に甘んじている。2008年のリーマンショック以降、経済的な問題から受験生の現役進学志向が強まったうえに、今年は新学習指導要領による新課程入試元年で、受験生の不安は高まった。安全に志望校を選ぶ傾向が顕著に見られ、難易度の高い早大は敬遠されたとみられる。景気が回復しチャレンジ志向が強まれば、志願者増に転じる可能性は高い。
今年、志願者が最も増えたのが7位の東洋大学。2万1189人、34
%と激増した。過去最高の志願者数で、2005年と比べても54・7%増えている。今年の激増の理由はいくつかある。昨年の志願者減の反動、定員増を実施したため入りやすくなったとみられたこと、受験料割引制度の導入などだ。有名大での受験料割引は志願者増に直結する。
就職状況好転で文系人気が回復
学部系統別では、ここ数年続いていた、理系の人気が高く文系の人気が低い“理高文低”に歯止めがかかった。文系人気が回復してきたのだ。トップは看護で17・1%増だが、社会4・4%増、経済3・3%増、商2・7%増、法2・5%増など文系の回復が目立つ。私立大全体では志願者数は微増にとどまったため、昨年より伸びている文系学部が多い。これまで採用枠が減らされていた文系学生の就職が景気回復で好転、志願者状況に反映したとみられる。最近の入試では、就職を考えながら学部・学科を選ぶのが一般的だ。
不況のときには国家資格を取得できる理系学部の人気が上がる。しかし今年は学部間格差が明らかになってきた。看護、歯、医が増え、薬、医療技術、獣医が減少に転じ、明暗がはっきりした。就職状況の好転により、国家資格に頼らなくても、との考えが広がった影響とみられる。
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