価値づくり経営の論理 日本製造業の生きる道 延岡健太郎著 ~価値づくりあってこそ活路が開ける

価値づくり経営の論理 日本製造業の生きる道 延岡健太郎著 ~価値づくりあってこそ活路が開ける

評者 中沢孝夫 福井県立大学特任教授

日本のものづくりが新しい段階を迎えている。近年の日本の電機産業の不振は、「顧客が普通に満足する機能をもった商品であれば、日本企業でなくても十分に開発・製造できるようになった」ことに原因があるのは、本書の指摘するとおりである。

特にエレクトロニクス系商品のモジュール化・オープン化・標準化の流れはとまらない。新しい機能を開発してもすぐに追いつかれてしまう。そこには技術革新の先行者利得は存在しない。儲からないものづくり、という消耗戦があるだけだ。

ではどうしたらよいのだろう。著者は「日本企業は、積み重ね技術によって高度な擦り合わせ型商品を開発し、意味的価値を創出することによって、国際競争力を高めるべきである」と主張する。

著者の言う「意味的価値」とは、「機能やスペック」を超えて、「顧客が主観的に意味づける価値」のことであるが、それは消費者の手に届けられる最終商品のみにまつわる価値を指してはいない。生産財や部品・素材など顧客企業向けの「商品」も含まれた概念である。

著者は「深層の価値創造」という言葉を使うが、「企業の根底にある底力(組織能力・積み重ね技術)によって、顕在化していないが顧客が心から喜ぶ価値」を創りだすことによって、競争力と利益が獲得できる、と指摘する。そしてその重要な条件が「技術」である。

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 今さら聞けない競馬のキホン
  • ソロモンの指輪〜「本能と進化」から考える〜
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • 御社のオタクを紹介してください
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
史上最大の上場に賭ける<br>ソフトバンクの思惑

12月19日、ソフトバンクが上場する。過去最大規模の超大型上場だが、祭りの後は楽観できない。親子上場による利益相反、高い配当性向、キャッシュの流出など懸念材料は多数。同社の大胆な戦略の前提である安定した収益成長が崩れる日、事態は……。