自分のケアができないリーダーは部下に嫌われる グーグルが注目する自分で心身を整えるスキル
その後、もっとも主体的に動くようになったメンバーが小林さんにこう伝えました。
「小林さん、変わりましたね。昔は、小林さんの中に正解があって、僕たちはそれをやらないと小林さんにダメ出しをされる感じでした」
こうして、それまで小林さんにそっぽを向いていたメンバーは、小林さんについていくようになったのです。
これは小林さんだけの体験なのでしょうか。いえ、そうではありません。実際、リーダーがセルフ・コンパッションを実践するほど、メンバーがついてくるという研究データがあります。フロリダ大学の研究では、77人のリーダーを調査しています。
それによれば、リーダーである自分自身に思いやりの気持ちを向けているリーダーほど、小林さんと同じように、「自分はリーダーである」という自覚が強くなっていたのです。
リーダーの自覚が強まるとポジティブな連鎖が起きる
なぜ、リーダーとしての自覚が強まるのでしょうか。リーダーが大変な状況に置かれ、つらく落ち込み、逃げ出したくなったとしましょう。
このようなときにリーダーは、「困難に立ち向かえない自分は、リーダーに向いていないのかもしれない」と自分に懐疑的になりがちです。
しかし、セルフ・コンパッションを実践するリーダーは、まったく別の視点で自分のことを見るのです。リーダーであるからこそつらい気持ちになる、ととらえるのです。解釈が真逆になるのです。実際、リーダーだからこそ、大変な状況に置かれると、多かれ少なかれ、逃げ出したい気持ちになることがあるものです。
この逆転の発想があるからこそ、「自分はリーダーである」という自覚が強まります。
ある研究データによれば、自覚が強まったリーダーは、メンバーの仕事上の課題解決をより手伝っていました。仕事のことだけでなく、個人的な困りごとにも、手を差し伸べていたのです。
実際、メンバーはリーダーのことを、能力があり、自分をケアしてくれるやさしさを持ち合わせていると評価をしていたのです。
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