蠢くゼネコン、復興バブルの足音

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宮城県仙台市国分町。東北地方随一の歓楽街は今、バブル時代と一見、見間違うかのような、好景気に沸いている。

「6月から新車の販売が動き出した。多かったのは、土建屋、コンクリ屋、ゼネコンの下請け。7~8月にはこれら中小企業のオーナーが買い始めている。東日本大震災の復興需要で仕事が入り、ずいぶんカネ回りがいい。節税対策も兼ねているようだ」。仙台市内にある自動車ディーラーの支店長は熱く語る。

輸入車販売最大手のヤナセ。仙台支店の販売は、2011年9月期の上期が49台、下期が現時点で104台だった。10年9月期が上期46台、下期63台だったのを考えると、いかに前下期から膨らんだかがわかるだろう。グループの他の拠点と比べても伸び率は最高だ。売れ筋は1台500万円前後で、ボリュームゾーンのベンツ「C」クラスだという。

自動車だけではない。仙台三越は8~10月、高額品の販売金額が1・5倍から、モノによっては3倍もハネ上がった。5月から前年実績を上回り、結婚式や銀婚式などのメモリアル・ジュエリーを求める“絆消費”は目立っていたが、夏以降は特に動きが顕著だ。同じ市内の百貨店、さくら野や藤崎でも、高額品の販売は好調に推移している。

日本百貨店協会によれば、仙台地区の10月の売上高は前年同月比9・7%増と、5月から6カ月連続プラスだ。美術・宝飾・貴金属に限っても6・5%で、「大震災後の生活が落ち着き、ぜいたく品に目が向いてきた」(さくら野百貨店幹部)。全国では10月が0・5%減だからやはり際立つ。ある宝飾製造品卸は「富裕層は店頭ではおおっぴらに買わない。だが外商ルートが中心の展示会では100万円以上の品を買っていく」と打ち明けた。

一説には、旺盛な消費には「義捐金や保険金が充てられているのでは」との指摘もあるが、定かではない。むしろ目立つのは、復興に伴う建築・土木や産廃など、本業が儲かっている業者だ。被災地といっても一律でなく、津波が襲った沿岸部とは対照的に、好況なのはインフラ復旧の早かった都市部である。仙台市内のホテルは目下、建設関係などの長期滞在者でフル稼働が続く。

 

 

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