蠢くゼネコン、復興バブルの足音

 

 

「われわれがメインで受注した石巻の分は916億円ある」。11月10日の中間決算発表で、鹿島の山内秀幸・常務執行役員は説明した。鹿島は12年3月期の受注高(単体)について、700億円増の1兆1350億円に上積み。東北地方に限ると上期は前期比6・4倍だ。

鹿島に限らない。スーパーゼネコン5社(鹿島・清水建設・大成建設・大林組・竹中工務店)のうち、今期は4社が営業増益見込み。21%増益を見込む大林組も、「期末に閉めれば想定通り」と白石達社長は自信を隠さない。自動車や電機が軒並み総崩れの中、ゼネコンは健闘しているといっていい。

業界の主要指標である建設投資も上向いてきた。1992年度の84兆円をピークに、10年度は41兆円まで半減。それが11年度は44・6兆円、12年度も45・9兆円と2年連続増の見込みだ(建設経済研究所調べ)。「第3次補正で足りなければ、12年度予算は結構な額になりうる」(丸谷浩明・同研究所研究理事)。高台移転で人工地盤を造るようになれば、膨大な土木工事も必要で、こうした“カンフル剤”が各社を潤すのは間違いない。

震災で目覚めた天災需要、カンフル剤はいつまで効く

これまで建設業界は文字通り、瀕死に喘いでいた。09年に準大手のフジタが米ゴールドマン・サックスの傘下に入るなど、かつての“危機モード”は脱したものの、それも市場に合わせてリストラを進めて縮小均衡を保ってきたに過ぎない。

その代償として、建設業の許可業者数は60万社から49万社へ、就業者数は685万人から498万人まで減少。相次ぐ談合事件に加え、いわゆる3K(きつい・汚い・危険)のイメージ悪化から、若年層が就職を敬遠し、現場では高齢化も進んだ。いまや3人に1人が55歳以上だ。

だが、幸か不幸か、大震災が風向きを変えるかもしれない。

地震や津波による未曾有の被害は、防災への意識を日本中に浸透させた。液状化対策から防潮堤の建設まで、「いざという時」の備えは改めて注目されている。高度成長期に造られた道路や橋が老朽化を迎え、維持・更新の投資も必要性を増す。「今後は全国的に防災機能の強化が高まろう」(有馬長郎・日本建設業連合会事務総長)。

 

 

 

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