就活は3年生からでは遅すぎる! 内定を勝ち取るための、大学1~2年生の過ごし方 田宮寛之著
「就活は3年生からでは遅すぎる!」というタイトルだけを読むと、1年生からの就活指南本と誤解する人もいるだろう。まったく違う。サブタイトルの「内定を勝ち取るための、大学1~2年生の過ごし方」が本旨である。1~2年生を対象とし、わかりやすく納得できる内容だ。学生にとって有益だが、キャリア教育をどのように展開すべきかに悩む大学教員、キャリアセンター職員にも推薦したい。得られるものは大きいはずだ。
著者の田宮寛之氏は、東洋経済HRオンラインの現役編集長だ。経済紙の記者として積み上げてきた経験をベースに、現在の就活を分析し、内定を勝ち取れる学生になる方法を伝授したのが本書である。「おわりに」で田宮氏は、真夏の炎天下にリクルートスーツで歩いている就活生に思わず声をかけたくなったと書いている。「今さらどんなにがんばっても遅いぞ。何でもっと早くからやるべきことをやらなかったんだ?」と。
「やるべきこと」とは何か。多くの就活本は、自己分析、敬語の使い方、エントリーシートの書き方、面接スキルなどを説明し、内定を獲得するためには自らの「術」を磨くことが必要と学生に信じ込ませている。
企業は勉強する学生を評価する
本書は違う。自己分析、SPI対策、面接についても触れているが、論旨の立脚点がまったく異なる。就活本には「学生の本分は学業にある」という基本的な視点が抜け落ちているが、本書は「学業」を中核に置き、「企業は勉強する学生を評価する」という当たり前の真実から就活=内定を論じている。
勉学で成果を出すには時間がかかる。学業が内定のための条件だとすれば、3年生になってから頑張っても間に合わない。「3年生から4年生にかけて1年以上も就活をがんばるエネルギーがあるのならば、なぜその力を1~2年生の時に使わなかったのか?」。
第1章「今こそ勝負! 1~2年生の時にやっておくべき5つのポイント」は、まことにわかりやすい。まず「語学力のアップ」。最低でもTOEIC600。NHKのラジオ講座や大学内の語学講座を利用して地道に勉強しようと説く。中国語なら中国語検定3級でも評価される。しかし3年生からでは遅すぎる。1~2年生の早いうちから勉強して3級を取得できれば、就活を有利に進められる。
2つ目のポイントは「経理的能力」だ。著者は簿記検定取得を勧めている。転職では簿記2級が必要だが、新卒なら簿記3級でも大丈夫。