就活は3年生からでは遅すぎる! 内定を勝ち取るための、大学1~2年生の過ごし方 田宮寛之著
3つ目のポイントは「経済に強くなる」。多くの就活本は日経新聞を勧めているが、著者は違う。「1年生から日経新聞を読むのはやめましょう」と諭している。この文章を読んで気づいたが、今の学生は新聞を読む習慣を持っていない。3年生になって初めて読む新聞として適しているのは、ビジネスパーソンのために編集されている日経新聞ではなく、一般人を読者にしている朝・毎・読の三大全国紙や地方紙だろう。
ポイントの4つ目は、「1~2年生からのインターンシップ参加」。インターンシップに参加すれば、仕事の中身がリアルにわかり、志望職種・業界が決めやすくなる。自分の適性についても理解が進む。また社会人と接することで、社会人慣れする。社会人慣れは、就活本番の面接に生かされる。もちろん礼儀、立ち居振る舞い、言葉遣いなどのビジネスマナーが身に付く。
5番目のポイントは「就活開始前に就活資金を確保」すること。3年生の5月までに20万円ほどの就活資金のメドを立てておくことが必要だ。なぜなら6月からインターンシップの選考試験が始まるからだ。
5つのポイントは実践的だし、1年生、2年生から始めるならTOEIC600、中国語検定3級、簿記3級の資格取得はそれほど高いハードルではない。
これまでの就活の常識は観念過剰で、どの本も似通っていた。多くの人事が「面接で学生の差がわからない」と言うが、そうなってしまう理由は簡単だ。学生たちは同じようなお題目を読んで自己分析し、自己PRのアピールポイントを探し、「御社を志望する理由」を作っているのだから差がなくなるのが当たり前だ。
本書はそういう就活の常識の真偽を、経済紙記者の目で平易に解説している。就活の常識では「黒いスーツ」が必要だが、著者は黒くなくても構わないと断言している。就活の常識は、就職情報の収集基地が就職ナビとキャリアセンターだと教えているが、著者は「もっと活用すべきなのは(新卒応援)ハローワーク」と説いている。
エントリーシートや面接での自己PRでは、バイト経験、サークル活動、ボランティア、海外留学などをアピールする学生が多い。就活のため友達とサークルを作ったり、短期の語学留学をしたりする学生もいるが、これはそういうものが有利になるという就活の常識があるからだ。しかしこの常識も著者は否定している。理由は、これらの活動は学生の本業と無縁だからだ。